過去ログ 1-4
うん、モブなんてこんなもんだ。
とか思ったかどうだったか。
なんか知らんが異世界に強制召喚されてなんかの材料だかなにかになって現界ではそっと行方不明者リストの1つにボディカウントされて終了。
とは、ならなかった、何故か。
三度の目覚めは問答無用の激痛。
ぶん殴られて、起きた。
起こされた。
「いってー」
無意識に口を突いて出た弱音と、雪原にへたりこんだまま火照る頬に手をやる私の傍らで、先の正体不明人影とはまた異なる、パンツスーツ姿の、長身の女性が見下ろし、口を開いた。
「良かったな、生の証だ」
あ、日本語。
後で星明りでの朧な記憶を頼りに調べて、どうやらこの人に似てる、ハリウッド女優から王妃になった歴史的美女、日本人離れした美貌のその女性は、私に告げた。
「この異界でこのまま朽ちるか、私と命に縋って永えるか、今、選べ」
氷の微笑。
怒気を孕んだ美女は、この世のものとも思えぬ美しさ。
まして、冷笑とあっては。
「たすけてくださいなんでもしますおねえさんおねがいします」
「? なんでも? 」
私のあられもない嘆願助命に美女はぷっと吹き出し。
「冗談だ、業務だからな、拒否されても連れ帰るさ、ようやくに確保出来た貴重な保護対象だからな」
不似合いといっては失礼だがしかし頼もしい、鍛えられた逞しい片手が私に伸ばされ、こちらもおずおず差し出した手を握ると一息でその場に私を立て起こし、がっちり片手でこちらを確保したまま開いたもう一方を懐に差し入れると、紙片の様な、お札のような物を抜き出し、天にかざして彼女は何事かを唱え。
この日、4度の意識途絶が、私を見舞った。




