暑い花園くん
*エブリスタにも投稿しています。
「あちいっ!! 暑すぎる! なんとかしろ!」
花園くんが、あたしたちに向かって叫んだ。
今年の夏は、異常に暑い。
「俺様が、なんでこんな暑い思いをしなけりゃならねーんだよっ!」
花園くんは、ひどくご立腹である。
夏休みの部活だ。
ここ、私立平凡高校は、私立だけど、貧乏なので、エアコンがない。
もちろん、この手芸部の部室にもだ。
「そんなこと、ゆーならさー、花園くんが、エアコン、付けてよ」
部長の久美ちゃんが、花園くんに言った。
花園くんは、汗をダラダラかきながら、
「ああっ?」
と、凄んでから、我にかえって、言った。
「そうだよな! 花園財閥の御曹司たる俺様の部室にエアコンくらい付けなきゃな。もう、十台くらい付けてやるよ!」
「そんなに、この小さい部室に付けたら、凍え死ぬわよ!」
久美ちゃんが、突っ込んだ。
「るせー! 熱死と凍死だったら、凍死の方が楽に決まってるじゃねーかっ!」
あたしは、思った。
何故に、死ぬことまでになっている?
しかし、この後、手芸部の部室に立派なエアコンが、付けられたのは、当然のことだった。
-暑い花園くん-
END