恋愛日記。
〇月×日( )曜日
僕の彼女は目が死んでいる。いつも冷めたことしか言わない。世界平和が夢物語だとか、ドラマ通りの人生なんて起こらないだとか。まあ、その通りなんだけど。まだ僕たち高校二年生なのに。
せめてドラマ通りの恋愛をさせてあげたい。
そう想いながらいつも、沢山の恋愛ドラマを観る。女の子は、僕の彼女は……どんな恋愛を望んでいるのだろう。この前ドキドキしながら頭ポンポンしたら、ごみを見るような目で手を払われた。
「あざとい」
って。
じゃあ、やっぱり身なりかなぁ。最近は犬系男子とか流行ってるって雑誌で読んだから、研究してみた。これでいいかワン? なんちゃって。眉だって整えたし、清潔感はもちろん、人懐っこさも全面的に出してみた。これでどうだ!
「キャラが合ってないね」
デートの待合場所で言われた一言。うーん。うーん。じゃあどうして僕と付き合ってるのだろう。はっ。もしかして、ただの遊びだとか?
「ねぇ」
彼女が空を見上げて言った。
「無理して合わせなくていいから」
しゅん。
全部バレてる。やっぱりお飾り彼氏か。悲しいなぁ。僕はこんなにも好きなのに。道端の階段で、買ったアイスを食べながら他愛もないお喋りをする。
風がさぁあっと吹いた。彼女の髪が靡く。綺麗だ。自然と僕を見上げる彼女の姿。一段上に登っていた僕が見たのは、瞳にハイライトの入った彼女の笑顔だった。
そっか。
いつも見上げているからわからなかった。
「今の顔。すごく好き」
本音が口から零れる。
溶けてきたアイス。僕はそれを咥えて体中の熱を冷まそうとした。
「私も好きよ」
彼女の言葉で、アイスの味が解らなくなるくらい嬉しかった。それだけです。