表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
学校で幼女の面倒を見る係に任命されました  作者: aaa
第二章 保育部の活動
16/29

15


 僕たちが保育部を始めてから数週間が経った頃、一つの事件が起こった。

 集中力も落ちかけてくる三限目の授業中、突然校内放送が流れだしたのだ。


『一年B組西条優成。一年B組西条優成。至急事務室まで───』


 教師とクラスメイト全員が僕を見る。

 ───ああ、この感覚も懐かしい。

 なんて馬鹿なことを考えながら、僕は事務室へと向かっていった。


「さいじょー!」


 事務室で僕を出迎えたのは、由香ちゃんだった。


「え?なんでここに由香ちゃんが?」


 思わず疑問が口に出る。

 そんな僕の疑問に答えたのは、事務員の人だった。


「裏庭の清掃をしていたら、由香ちゃんが迷子になっていたんですよ。話を聞いたら、西条くんを探していたみたいで……」

「僕を?」

「はい」


 今までは授業中は部室でおとなしく待ってくれていたのだが、何の用事があったのだろうか?

 それを聞くと、由香ちゃんは恥ずかしそうに理由を語った。


「あのね、ゆめこちゃんのね、ふぃぎゅあがほしいの」

「?」


 由香ちゃんが何を言っているのか、何もわからなかった。

 しかし、ここはこちらがくみ取ってあげなければならない。ここ数週間保育部をやってきた中で、学んできたことだ。


「ゆめこちゃんって、あの魔法少女のだよね?」

「うん!」

「もう持ってるでしょ?」

「あたらしいのがでるの!」

「なるほど……」


 しかし、もちろん僕はそんなものを買えるほどのお金は持っていない。


「とりあえず、ママに聞いてみよっか?」

「やだー。ままはだめっていうもん」


 なるほど。だから僕を頼ってきたわけか。

 しかし、僕にどうしようもないということに変わりはないので、理事長に話をする必要はある。松原家の教育方針というものもあるだろう。


「とりあえず、部室に戻ろっか」

「うん」


 由香ちゃんがここでぐずりだしてしまっては迷惑なので、ひとまず部室に退避することにする。

 少なくとも、今日の午前の授業はもう受けられないだろう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ