いつかの記憶
つたない文ですが、これからよろしくお願い致します。
太陽が空高く輝き、雲ひとつない澄んだ青空の下。
透明な水が揺らめき、煌めく光の筋が交差する美しい海の中。
幼い子どもたちが手をつなぎながら、浮かぶように泳いでいた。
周囲には色とりどりの魚たちが戯れ、珊瑚が鮮やかな模様を描いている。水面から差し込む陽光がゆらゆらと揺れ、まるで夢の中の世界のようだった。
「きょうは、あっちにいこうよ!」
パステルブルーの髪を腰まで伸ばした少女が、繋いだ手をぐっと引き寄せる。
動くたびに、長い髪が水の中でふわりと揺れ、生き物のように踊った。
彼女の声には、まだ幼さを残したあどけない響きがある。
「うん、いいよ!」
答えるのは、彼女より少し背の高い男の子。
しなやかな金色の髪が、太陽の光を受けて水中で煌めいた。
その幼い瞳には、期待に満ちた輝きが宿っている。
「すてきなものがあるの」
「たのしみだな」
「うふふ」
少女は嬉しそうに笑い、二人は手をしっかりと握ったまま、海の底へとゆっくり進んでいく。
「てをはなさないでね」
「いきができなくなるから?」
「うん、くるしくなるの」
少女は繋いだ手に、そっと力を込めた。
しばらく泳ぐと、珊瑚礁や岩の隙間に、淡く光る何かが見えてくる。
「これは……?」
男の子が目を丸くする。
「にんぎょのなみだだよ」
「なみだ……?」
少女は優しく微笑むと、それを拾い上げ、男の子の手のひらにそっと置いた。
それは、真珠のように白く透き通っていた。手渡された瞬間、淡い光がふっと消える。
「なみだは、おまもりなの」
「おまもり?」
「わるいものから、まもってくれるのよ」
「ぼくを?」
少女は静かに頷いた。
そして、ふいに顔を寄せると、男の子の唇にそっと口づける。
「——っ!」
男の子は驚いて、思わず繋いでいた手を離してしまった。
「あれ……?」
喉に手を当てながら、彼は戸惑ったように少女を見つめる。
少女はそっと指を唇に当て、ハニカミながら微笑んだ。
「これ、おまもり。すこしのあいだ、くるしくないの」
その言葉のあとすぐに世界が、眩い光に包まれた。
「また、あの夢か……」
ふっと息をつきながら、ベッドの上で額に手を当てる。
水の感触、微笑み、——すべてが夢の中の出来事のはずなのに、あまりにも鮮明で、現実のような感覚が残っている。
夢なのか、それとも幼い頃の記憶なのか。
答えは、今日も見つからないまま。
ただ、心の奥に静かに残り続ける——その感覚だけは、確かなものだった。




