都合確認
ようやくPCがちゃんと復帰してきた
リハビリが一話5000文字超えてるのはどういうことなんですかねぇ
浮かべた笑みをジーっと見るデルスに、カティナはハッと気づき自身の頬をパシンと叩いた。
高位軍人が単独で戦うときは非常に好戦的になるのだが、その時の笑みだったのは明白。ただカティナは既に引退しており、さらには治める立場だ。そうなると悪癖とすら言えるものとなる。
故にカティナはそれを恥じる。社会に求められる役割に合わない悪癖は見せるべきではないものだから。
キリっとした顔に変わったカティナは子供を攫う災害獣ではなく、別の話を始めた。前線で戦う話ではなく、全体把握する指揮としての話を。
「あなたたち二人の監視を残さないといけないんですよね……」
コルドークの町を治める者として当然の指示。たとえ二人に敵対する意思がなくとも、その様子を把握しないという選択肢はあり得ない。
格上の存在である以上魔術による監視などでは到底足りず、直接誰かが居る必要がある。
「敵対する意思はないのだけれど?」
「分かってますよ。ただそれは状況によるでしょう?」
ローズの言葉にカティナが質問で返し、シアとローズの二人は顔をしかめた。
シアとローズは戦う気はない。それは二人が戦うことになればコルドークの町が吹き飛ばされかねないからだ。そうなれば二人は町を捨てる必要がある。
安住の地を求めている二人からすればそれは避けたい。だがカティナが言いたいことはそれを脅かす状況ということだ。言い換えると―
「―戦わざるを得ない状況ってこと?それはあなたたち次第じゃない?」
ローズの言葉はもっともだ。この町を守るのはカティナ達ドワーフ軍であり、その役割を怠慢しておいて二人に任せるとなれば、二人からすれば戦う気などありはしないだろう。
「違いますよ。例えば……私たちがいない状況で町の外から災害獣が襲ってきたら?」
「なるほど。自衛戦力として扱えると」
カティナが示すのは、シアとローズだけを残して全戦力をディアインに投入した場合の最悪のパターンだ。ラギトーサという災害が明確に存在する上、いつ災害に不意遭遇するかも分からない。
そうなれば戦うのは二人だ。ともなれば戦わざるを得なくなり、必然として町に被害が出る。それは誰も望んでいないのだ。
そこまで考えれば二人がとる手段は一つか二つだ。町の外に出ながら戦うか、町の外で戦うかだ。
「戦うとは思うけど、逃げるかもしれない。としか言えないかな」
「それだけで十分です。あの赤い羽根の部下なら戦力は私たちと同格か、下手しなくても私たち以上でしょう。そんな者が逃げるようなことになっているなら、この町は滅ぶだけです」
逃げるふりをして外に引き付ける。ローズがそう遠まわしに言ったのをカティナは当然のように受け取る。もちろん二人が本当に逃げ出すようなら滅ぶのは仕方ないことと割り切ってもいた。
カティナが微笑みをシアに向けるのとほぼ同時に、ローズから殺気すら含んだ視線が飛ぶ。シアと話していたからではない、ローズがカティナの狙いを読んでいたからだった。
「読めたぞ。私たちを戦力に、他住民を逃すつもりだな?」
ローズへとカティナの視線が向けられる。微笑む顔は変わらないままだ。が、思わず魔力が漏れていた姿は動揺を隠せていないと周りに分かりやすく見せてしまっていた。
「ええ。あなたたちが再び安住の地を作りに行くよりも楽でしょう?」
二人の目的は安住の地にてシアの制御が問題ないレベルになること。それさえ乗り越えられれば解決なのだが、そのために被害を出すことは本意ではない。
元は人間であり社会の中に居たいという願望を持つ以上、当然の考えだった。
「ローズ、どうする?」
「どっちでも問題ない。ただまぁ……赤い羽根がいる以上、逃げなくても問題ないというのはある」
「私たちだけは絶対に死なないし、敵対すれば死ぬだけだもんね」
二人がここにいる最大の要因、それは赤い羽根の存在だ。それはこの世界において稀有な、絶対的な安全圏を保持していると言っても過言ではない。それは五大種族ですら首都以外に持ち得ないというのだから、どれだけ貴重なものなのか分かることだろう。
そしてそんなものを保持しているために、他の者たちにない余裕がある。災害なんてどうとでもなる者たちからすれば、災害がどこにあっても移動はすぐできるのだ。
とはいえその安全圏が自分たち以外に適用されないため、過ごしやすい場所をいくつも探してコルドークの町に着いたのだ。簡単に手放せるような場所とは言えなかった。
「私たちはあなたたちと敵対する意志はありません。契約魔術を使っても構わないくらいです」
そこまで言われて悩まない二人ではなかった。素性がバレたからといって移動する気もないのだが、理由がなければカティナは納得しない。
何がしかの理由をつけてここにいると言うのが一番なのだが、ローズにはすぐさま思い浮かばなかった。
そしてシアはふとさっきまで起きていたことを思い返していた。ささいな理由だが、一つだけあったのだ。
「……あ、そうだ。ローズ、一つだけあったかも」
「ふむ?」
シアの視線がルミナへと移る。それと同時にローズの顔もルミナへと向けられた。
一つだけあるかもしれない目的、それはさっきまで話していた人物のことであり、話していた内容についてだ。
「ルーナってあなた?」
目が見開く程に驚くルミナ。ルミナからすればルーナのことを知られている人物はドワーフの王や高位軍人クラスの人物だけだ。まかり間違っても何も知らない人物に話すことはない。
確かにルーナの身体を扱っているという意味では間違っていない。でも言わせてほしいのはあたしはルミナであってルーナではないということ。ルーナ扱いされて面倒なことに巻き込まれるのだけは勘弁してほしい。
「……間違いではないけど。あたしはルミナ」
「間違いじゃないならいいわ。あなたと赤い羽根に会いに行きたいのだけれど、いいかしら?」
ある意味願ってもない内容に思わずニヤリと頬が吊り上がる。
赤い羽根は強大な災害獣だと聞いており、それゆえに町の外にいることは分かっている。そしてディーエの詳細探知で居る場所も分かっているが、行けば確実にいるかまでは分からなかった。
そこに部下が案内してくれると来たのだから乗らない手はない。問題があるとすれば、……タイミングが悪いことくらいだ。
「あたしの元々の目的も赤い羽根に会うこと。問題はないわ」
飄々とした態度で告げるルミナにギロリとデルスが睨む。それは目的が別にあることを忘れるなという視線だ。
予想通りの反応にやはりタイミングが悪いと認識を再確認する。こっちの話はいつでもできるが、ディアインの件は急ぎなのだから当然と言える。
「ただ、こちらの問題が解決してからね」
はぁと一つ溜息をついて二人へと話す。残念ではあるが、コルドークに来た本来の目的はそちらである以上優先すべきはそちらだ。あくまで赤い羽根はこちらの事情なのだから。
さっきまで話していたことだと分かっているのだろう。うーんと顎に指を当て悩むシアは確認を一つ投げてきた。
「さっきの子供たちがどうたらってやつ?」
「そう。協力してくれれば楽なんだけど……」
シアがローズの方へと視線を向ける。思考を繋げて高速会話でもしたのか、二人していい笑顔をして明確な拒絶の意思を示してきた。
「面倒だし嫌」
「私も行く意味ないし」
分かっていた言葉だったが、期待を少しでもしていたら失望してしまうのは仕方ない。何せ戦力としては申し分ないのだから。
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