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軍人たちは動き出す

GWは積みゲー消化でもすっかね

「遅刻ギリギリとはいい度胸ですね。我ら同族の命なぞどうでもいいと?」

「いやその……疲れてたし……」

「ディーエは起きてます。言い訳にしかなりませんよ」


思わずデルスから目を逸らしてしまう。後ろめたいものだと分かりやすく示してしまうが、仕方ないことだ。事実寝坊なんて後ろめたいことだし。

そうして目を逸らした先には首をかしげるミグアの姿があった。


「でもディーエは妖精族の薬使ってたよ?」


妖精族の薬。それは疲労の減少や一時的な精力増強に使われるものであり、魔力の薬剤とすら言われているものだ。恐ろしく疲労が溜まっている時や、テンションを高める時に使われるものだ。

そんなものを使っていたということは、無理やり目覚めたと言っている以外の受け取りようがない。


「…ディーエ?」

「いやーその、俺の自腹だからってことじゃ……ダメですかね?」

「疲れてるなら疲れてると言いなさい。これからやることは油断が許されないことなのですから、万全の体調でなければならないのですよ?」


溜息をつきながら小言を言うデルス。引率みたいな立ち位置である以上、こんな状況なら叱るのは当然だ。が、デルスとディーエは同じ高位軍人であるからかどこか優しめだ。


ディーエだけ優しいことに抗議したりと領主館前で口うるさく話していたら、奥の方から怒鳴り声が轟いた。


「説教はいいから全員こちらに来なさい!」


カティナの怒気が籠った声に、全員の身体がビクリとする。声に畏縮させるように魔術を組み込んでいる声だ。高位軍人の訓練で使われることが多い魔術だが、こんなところで使わないでほしい。


しょぼくれた顔をしながら領主館の部屋にいるカティナのところまで歩を進める。上司に叱られに行く部下のように。


部屋に入ってカティナの顔を見ると怒ってもなさそうな表情。どうやら時間が惜しいという意味であって怒っているという訳ではなかったらしい。

全員がソファーや椅子に腰かけるとカティナは話を始めた。


「手筈は昨日伝えた通りです。まず町の大外から広範囲探知を展開します。私、デルス、ディーエにて三方向から共鳴させ、町全域に詳細な探知魔術を行使します」

「共鳴させるということは方向は三人で上から見て正三角形を描くような形ですね。ディーエ、大丈夫ですか?」

「これでも感知には自信があるので。方向音痴でもないですし」

「よろしい」


町の大外まで行くのには探知を使えない。さらに自身の位置を確認するための魔術も使うべきではない。三人には正確な場所へ行かないといけないのに、移動が本人任せになる。

つまり誰かが方向音痴だと計画が破綻するので確認していた。高位軍人は全能力が極めて高いために基本的にいないのだが、極々稀に現れるのだ。千年単位で一人とか、そのレベルだが。


幸い今いる面子は全員きちんとしている高位軍人だ。その心配はない。


「そして常に通信魔術を展開していますので、ルミナさんとミグアさんは災害獣クラスの存在の周囲まで即時移動をしてください。お二人の展開する場所はどこでもいいですが、大きく離れた位置取りでお願いします」

「二人一緒に行動して移動範囲がダブってたら意味ないし、妥当だね」

「分かった」


カティナが示した三角形はデルスを北として、カティナが南西、ディーエが南東のような形だ。戦力としてはデルスが一番上である以上、南寄りに位置取るのが妥当なところだろう。

北側と南側で戦力分配するとして、北をデルス・ミグア、南を私・カティナ・ディーエ。浅慮得してはデルス達の方が上なので私とミグアの位置はそれがよさそうだ。


「それでは時間も惜しいので、後は通信魔術でやり取りを行います。デルス、ディーエ、行きますよ」

「ええ」「はい」


高位軍人の三人が行く。大通りではなく、屋根をつたって三方向へと一直線に走っていく。それを視認すると、ミグアの方へと顔を向ける。


「ミグア、あたしは南側に行くから、あなたは北側をお願い」

「分かった。…あの二人付近?」


予想されたことに驚くも、ミグアなら知られていたとしてもおかしくはない。

何せミグアは怪しいと行った本人が…本龍?が繋がっているのだから。しかも私に対しては過保護なやつだ。


「……情報の出所はガイードね?ま、それ以外も理由はあるけど、そうする予定」


心配そうなミグアの頬に両手を当てる。身長差から目線が合わないが、ミグアがこちらに合わせてくれていた。

無表情に近いけれど、ほんの少しだけ下がっている眉や口角が何を言いたいのか示してくれる。ミグアに心配されるのは嬉しいが、私もミグアを心配しているって意味なら似たようなものだ。


「危ないくらい戦わないでね?」

「心配性ね。大丈夫よ、ガイードだって着いてるんだし。ミグアも危ないと見たら逃げないとダメだからね?」

「うん」


ミグアから手を離し、領主館の外へ出る。街中で大事を引き起こす可能性があるという前提がある中では、昨日までとは変わらない街中の喧騒が今はただうるさい。


「それじゃ探知後に合流ね」


ミグアに一言口に出し、大通りの屋根を駆ける。町の大外にいる三人の方が移動時間はかかるが、ルミナ達も移動時間がない訳ではない。


早めに移動しておいた方がいい、という判断だった。それは間違っていないものだったが、同時に不運なものでもあった。どこに敵がいるのか分からない、不意遭遇戦があり得るという不運を。

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