ルミナのガイード
別作品にかかりきりでストックやべーい
あれから4時間ほど歩き続けただろうか。それなりの速度が出ているから風景の移り変わりがかなり多くあり、ルミナ自身はピクニック気分にすらなっていた。
そんな中、先頭を歩いていたデルスが足を止める。休憩でもするのだろうか?
「丁度中間。ここならガイードを解放しても大丈夫です」
「確かに広目の場所ね。名前とかあるの?」
「ないですよ。ただの中継地点」
ディーエからの捕捉説明も入り、出発するときに話していた容赦なく全力を出していい場所だと理解する。
それならと左腕を持ち上げ、二の腕に着けているバングルを口に近づける。
「それじゃあガイード、お願い」
「了解した」
ガイードの黒い魔力がルミナを覆いつくす。球体になった魔力は密度を更に高め、外からは何も見えない、3m程の漆黒の球体と化す。黒い魔力の全ては完全に操作されており、外へ漏れることはない。
球体は少しずつその大きさを小さくし、人の形をしたルミナ程の大きさまで変化していく。
「これは……!」
「聞いてた話よりもとんでもないですね…」
魔力が漏れの一つもなく操作されていく。デルスとディーエは二人は高位軍人という強者共であり、感知能力にも長ける彼らは分かってしまう。これがどれほどの力を持っているのか、この力を振り向けられたらどうなるのか。
人の形をした黒い物体は少しずつその姿をルミナが見えるように変貌させ、漆黒のドレスのような姿へと形を変えていく。だがその姿はかつてルーナが戦った時のようなフォーマルなドレスからワンピースのような長さまで短くなっていた。そして眼帯は存在せず、二つの眼はしっかりと見える状態になっていた。
さらにルーナの時とは特徴的な姿の変化がルミナには起きていた。
「あれ?ガイード……翼と尻尾は?」
「翼と尻尾?」
ミグアの疑問に、なんだそれとルミナも疑問に首を傾げる。ミグアはガイードを装備したルーナを見ているが、ルミナは見ていない。その認識の違いだった。
「ないな。あれはルーナが使っていたようなものだ」
バングルから届くガイードの言葉にルミナは思考が混乱していく。ガイードとのルーナと違うらしいが、どこがどう違うのかが全く分からない。
こういう時はひとまず現状整理だ。ガイードに一つ一つ聞いていこう。
「えーと、ルーナと形状違うってこと?」
「我の装備の性能自体は装備する者の魔力操作効率に依存する。性能はそうなっているのだが、形状は別だ。攻撃重視にするか、汎用にするかという変更を行うこともあり、魔力操作にて変更することが可能なのだ。ルミナは何を考えて我を装備したのだ?」
どんな装備にしたいかをイメージし、装備するときに魔力を操作する必要があるということらしい。そう言われるとイメージなど全くしていなかった。魔力操作も長距離移動用のままだ。
「確かに。魔力操作の意識的にはとりあえず鎧装備しよう、くらいにしか考えてなかった」
ガイードの口からふぅという息が吐かれる。溜め息、という感じじゃない。魂の繋がりから伝われる感情は……呆れ?。
「ルーナが装備していた時は、やつが武装そのものをどう変化させるかすら操っていた。ルミナにはそれがないが、代わりにその衣服はルーナの物より遥かに上質だ」
どうやらルーナが馬鹿げた魔力操作でガイードの装備すらも変化させており、そこにガイードも加わっていたような形だったらしい。今回私がガイードに頼んだような形ではなく対等かそれ以上の関係で装備した、と。
そんなことができたルーナに感嘆もするが、それよりも大事なことがあった。
「翼と尻尾……ないのかぁ」
ガイードの翼と尻尾と言えばドラゴンのそれだろう。竜人なんて……響きがすごいかっこいい。そんな言われ方なんてしてみたかった。
「そう落胆するな。ルミナ自身の魔力技術如何では武装できる可能性も十分にある。あれはルーナ自身の造形感性によるものだと考えてくれればいい。ルミナにはルミナの感性があるだろう?」
今の私の感性と魔力操作では、ワンピースとドレスの中間程度しかないってこと?。それには異議を言いたいところだけれど、魔力操作ではデルスすら容易に上回るルーナと比べればそんなものと納得できるものもある。
「ははは、まだ全然だけどよく分かったよ。ありがとう、ガイード」
だから笑って誤魔化すとする。ガイードにはちょっとルーナに嫉妬してるのが分かられてるから生温かい目で見られているけど。
ガイードとルミナが話している中、変わらない表情でいるドワーフの二人は音を消す魔術を使用し、聞かれないように情報を共有していた。
「デルス近衛。あれと戦って勝てる自信は?」
「ありません。逃げるのも難しいでしょう。災害と比べても遜色ないどころか上と言ってもいいレベル。ワグム王が潰すのを避けるのも分かります」
敵に回したら災害獣と戦える近衛ですら殺される、それだけの情報共有だ。しかしそれは危険の度合いを測るという、この世界において最も重要な情報を知ることができたということでもあった。
ガイードを装備した後、魂経由で性能を把握したのでその後特に何か起きたということはなかった。
そして4時間後、あたしたちは目的地であるコルドークの町に着いたのだった。
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