ドワルガ王国からの協力
ミグアが嫌われているのは現実に即すると
ゴキブリ×信頼あるマスゴミ×ムカデ
くらい
要するに吐き気を催す邪悪と比べても遜色ないほど。
「改めてお礼を。あなた方が戦わなかったなら被害が大きかった。それに他の種族にあのマイマイを討伐できたと報告もできた。我々ドワルガ王国の福音と呼ぶべき存在、ルミナ殿に感謝を」
ノックの後ルミナ達は彼を部屋に入らせた。その第一声がこれだ。ルミナからすれば実際に戦っていた訳ではないため会ったこともなく、ミグアからすれば見たこともないドワーフだ。
二人の頭の上に疑問符が見えたのは気のせいではないだろう。
「えっと?」
「デルスと言います。ドワルガ王国の国王ワグムからあなた方の護衛を指示された者です」
その言葉で二人にようやく合点がいった。都合よくノックされることなどそうそうあり得ない。ずっと待っているならその可能性はあるものの、どういう人材ならそれがあり得るかが理解できたのだった。
だがルーナの知識を多少は持っているルミナは気になることがあった。一目見ただけで強いと認識できるドワーフが護衛というのはおかしい。
正規軍人程度が妥当なはずだ。だがどう考えても目の前のドワーフはそれより遥かに強い。
「……階級は?」
「ドワルガ王国の軍の内部を知っているので? ああ、ルーナ様のお知恵ですか。私は近衛です」
その階級にはルミナは驚愕に目を見開く。
近衛、それは高位軍人でも一握りという階級だ。人の社会で言えば会社の部長だのマネージャーだのと言われたり、軍では将軍と言われるものだ。ドワーフの中でも実力は上位の20人近くしか名乗れないものであり、こんなところに居ていい存在ではない。
「軍最上位の一人じゃない……あたしたちに置く戦力じゃないでしょう……」
「それだけ警戒しているということです。寝言で魔法とか撃たれても対応できるようにと」
「馬鹿にされてる気分。そんなに不安?」
呆れるルミナ、そしてミグアの言葉にデルスはコクリと頷く。彼の表情は変わらず、言われた言葉の通りだと言っていた。
「ええ。我々から見ればルミナ殿は魔力が不安定過ぎる。ミグア殿はそもそも存在からして危険と認識していますから」
淡々と話すデルスにイラつきを隠さないミグアと、逆に上機嫌なルミナ。余りにも率直な言い方は清々しいまであるが、逆撫でするような言葉であり二人の気性が分かりやすく表せられた。
「正直ね。嫌いじゃないけど」
「ルーナ様を知る我々からすれば、嘘をつけば粉々にされる願いが降ってくると言われているもので」
苦い顔をしながらデルスは話すが、言われたルミナもまた苦々しい顔だ。ルミナにはゼルを使えばその願いは確実に実行できることが分かっている。それを悪意ある嘘は嫌いなルーナが使ってたらどうなるかは火を見るよりも明らかだった。
「あたしは鬼か何かか?」
「あながち間違いではないですね。敵対するものからすれば遭遇することと死ぬことはほぼ同じことです」
これ以上この話題に突っ込んでも自爆にしかならないと判断したルミナは話題を変えることにする。第一これはデルスと話すことではない。話すのならあたしの中のルーナと話すことでしょう。
「はぁ……。で、これからあたしたちはどうするように言われてるの?」
「特に何も。ワグム王は好きにしろと」
その回答にルミナは驚きもせずにふぅんとだけ呟く。
ルーナから聞いていたからの反応だ。一言の断りもなく好き勝手行動していいというのはルミナからすれば嬉しい限りだ。が、流石に何の断りもなく行動して問題を起こしたら面倒なことになりかねない。
一応、念を押しておくことにする。
「……本気?王様に何も言わなくていいの?」
「既に言っているというのが正しいですね。ルミナ殿は知らないかもしれませんが、ワグム王とあなたは既に話されています。まぁワグム王はそう言ってましたが、こちらとしてはルミナ殿には訓練を受けてもらいたいところですね」
「訓練?」
ルーナの言葉が蘇る、鍛えておくように伝えておいたという内容だ。それがこのことを意味しているのなら乗る方が吉だろう。
「魔力操作や戦闘技術といったものです。子供みたいな魔力操作能力でそれだけの魔力を制御されるのは不安どころではないもので」
その不安は当然のものであり、ルミナ自身も同じことを考えていた。だからこそキグンマイマイの中でさえも魔力操作の訓練を行っていたのだが、時間が足りなかった。
そして今、訓練のために時間をくれると言う。これ以上ない申し出としか言いようがなかった。
「願ったり叶ったりといったところね。あたしもそうしたかったからちょうどいいわ。ミグア、付き合いなさい」
「分かった」
「訓練場へ案内しましょう」
二人の同意を受け、訓練場へと案内するデルス。だがその顔にはどこか不満の陰が落ちていた。
「ミグア殿は来なくていいのだが……仕方ないか」
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