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共に在るモノたち

主人公覚醒はいつ見ても目が輝くものですわぁ


前回の裏側です

身体の自由が効かない。あらゆる五感が封じられ、思考することしかできることがない。


どこで間違えたのだろう。亜人の町を見つけたこと?、それは不可抗力であり移動していた進路上どうやってもぶつかっただろう。


町の中に入ろうとしたこと?。好奇心という観点から見て抑えることはできなかったのは事実だけど、安全が担保されているような場所に向けてそれを抑えるなんて馬鹿らしいと判断した。それは全くおかしくない。


それじゃあ亜人達と知り合って移動しようとしたこと?。いいやあの時の選択はあたしの好奇心に従えば最善だった。彼らもマイマイだったろうけど、それ自体が悪いというわけじゃない。


それじゃあ……「やめなさい」。


後悔を繰り返すルミナの思考領域に別の思考が混ざる。それはあたしの声であり、あたしの声ではなかった。


精神世界に現れるのはあたしの姿。けれど右目が紅くそまり、あたしに似た誰かだと分かる。そしてその肩に現れる姿がもう一つ。

それは小さなトカゲの姿。けれどその大きさに反して、存在感という意味ではこの中で一番大きくも見える。


「あなたは膝をついた。現実の世界ではね」

「う゛」

「けど精神は折れてない。ここで立っていた私達はあなたを支えるために現実世界では立てなかった」

「それは……一体?」


謎のあたしとトカゲはあたしに現実と、よく分からない言葉を吐いてくる。現実で折れても心は折れない、そんなことは当たり前だ。例え狼に喰われてもそう簡単に……狼?。

頭を捻るあたしにお構いなしに目の前のあたしは言葉を続ける。


「私たちも「ルミナであること」に違いはない。ただその成り立ちが違うだけ。だから一番ルミナらしいあなたにその権利を譲った」


あんまり理解が追いつかないけど……あたしもあなたもルミナ。だけどあたしが一番それらしいから、ってこと?。随分とふざけた理由だけど、どこか納得している自分もいる。感覚的な理解だからか、すぐさま否定できない程には。


「だが今はルミナという存在が無理やり折られ、誰しもが権利を執行できる状態になっている。……まぁ我々が表に出てもそれはルミナのままだ」


小さなトカゲが威厳高らかに伝えてくる。声を出すような感覚じゃない、無理やり頭に響かせるようなそれだ。けれど気持ち悪いような感覚はしない。むしろどこか心地いい声色でさえある。


「言っていることがいまいち分からないんだけど……?」


結局、彼らの言っていることは難しくてよく分からない。抽象的が過ぎるし、何よりルミナがどうのこうのって…全部あたしってことでしょ。

もっと簡単な言い方をしてほしい。


「はぁ……、あなたはここで立ってなさい。あなたは自らの力で立つことが最優先でしょ」

「当然!」

「それはまず精神で立つことだ。無理やり現実で立とうと無理やりへし折られるだけだ」

「……ちゃんとした心を持てってこと?」

「まぁそれでいいわ。あなたはあの世界ではまだ未熟な子供。でも自立しようとする力は人一倍。それなら表は私たちがやるから一歩ずつ進みなさい」


まだ子供。その言葉に少しいら立ちを感じるが確かに言う通りだ。身体の動かし方や魔力操作の習熟度、どれもこれも成長してる子供くらいだし、せいぜい今できることは精神が折れないことだけだ。

それができればいい、ということなら任せてくれて構わない。


「分か…っ……」


身体が徐々に消えていく。言葉もかき消され、言葉を出すこともできない。

これに身を任せれば彼らの言う精神が折れないとやらに該当するのだろうか?。いやきっと違う、この中でも自分自身を保ち続けろということだ。


例えそれが意識だけになったとしても。




ルミナがその場から消えていく。だがそれは紅目のルミナ達がここに来たように、元のいた精神領域へと戻っていくだけだ。精神世界からルミナが消えるというわけではない。



紅目のルミナ……いや、ルーナは安心したと同時に怒りの感情が込み上がっていた。ルミナが無事だったことから安心を、そんな目に合わせた存在に向けて怒りを。

もしここが現実世界ならルーナの周囲は漏れた魔力の影響で溶岩のように溶け落ちるような環境に早変わりしていただろう。それほどの憤怒だった。


「遅いぞ」


トカゲは既に行動を起こしていたのか、ルーナに早くしろと暗に問い掛ける。それとほぼ同時に現実世界では、破壊の濁流と共に阿鼻叫喚の地獄絵図が創り出されていた。


「さて、消滅させるまで潰しましょうか」

「同感だ」

「と言っても既に被害が……あんたは手が速過ぎるのよ。災害のくせに。もっとどっしりしてなさいな」

「ルミナが消されかけた以上、即座に手を出さんわけがないだろう」

「それもそうね」


彼らは精神世界から直立したまま浮上して水面へと近づいていく。水面には光が当てられ、水の中と外では別の世界だと示している。事実、ルーナが浮上した水面から上は世界が変わっていた。


そこは文字通りの現実。ルミナが消されかけた世界であり、消されかけた直後の今だ。


ルミナの腰から尻尾が生えており、その先は球体になっている。尻尾には百足の足のような棘が生えているが、それらの足が丸まっており傍からは百足には見えない。だがそれはあのトカゲが何だったのかを示すには十分過ぎた。


ルーナは空に浮かぶ防御魔術を一瞬で認識し、それらをすり抜けるように聞こえるよう声に魔術を乗せる。


「聞こえるわね。ここからは私たちが相手になってあげる。……その気色悪い姿形を消滅させるまで潰してあげるから覚悟しなさい」


ルーナの声が、そう告げられた。

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