表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
56/126

苛立たせる護衛?

執筆があと3万文字で二章が終わると考えると早かったなー


投稿ストックが11話くらいだから合計であと22話とかそれくらいか?

「いやこれは予想してなかった」


透視と過去視を同時に物を対象に使っていると、周囲の様子は分からない。あくまで移動だけが分かる。

つまりルミナには門から外へでた小麦の幻影は城壁を透視して距離だけは明確に見えていたが、そこが畑とは分からなかったのだ。


「町に近いから災害が起きるなら共に滅ぶ。選択肢とするなら十分にアリな選択だけれど……リスク的にはダメ。分散して畑を作らないと」


小麦の幻影は北へ十分ほど歩いたところまで移動していた。ならそこに生産者の家でもあるはずと見当をつけて歩き出す。

ルミナは小麦畑を迂回するように移動していく。かなりの大きさがあるから十分どころか三十分はかかるだろう。


「ドワーフの国だと地下でやってるんだっけ。地上だと見ないからちょっと新鮮かも」


頬を赤らめて興奮を隠さないルミナ。魔力で五感を強化こそしているものの、誰もいないからと呑気な様子は傍から見たら無防備な女の子にしか見えない。

そしてそんな様子を見つめる瞳が一つ。


「ずい、ぶん、可愛ら、しい、様子」

「っ!?」


背後から聞こえた声に咄嗟に前方へと跳んで距離をとる。

最後まで聞けるほどに油断していた。数mほど背後にいる人に気づかないなんて、町について余程浮かれていたみたいだ。

距離をとると共に振り返ったルミナの瞳に映ったのは、昨日ルミナの命を奪いに来た亜人の姿だった。


「ミグア、だったっけ?」

「そう。あなた、ルミナで、合ってる?」


相変わらずの無表情でミグアは答える。その服装は会った時と変わらず武装したままだ。違うのは武器を手には持っておらず、腕組みしたままで戦う気配は見えないところ。

ルミナはゼルを展開し正面に構える。さらに魔力を全身に強化するように操作し、いつでも戦える状態になっておく。


「殺されそうになった相手に答えると思う?」

「思う、けど」

「ふざけっ……!」


おちょくられたとイラつくルミナだが、頭の中で冷静な部分が昨日のミグアとはまるで違うと必死に弁護してきた。


「……一応聞くけど、何の用?」

「ルミナ、危ない、から、護衛」

「暗殺者から護衛に転身?。暗殺されかけた人相手にそれが信じられると思う?」

「思う、けど」


こいつはおちょくるのが基本的な会話だとでも思っているのだろうか?。あり得るはずがないことを平気であり得ると言ってくる。そんな人はマトモではないから暗殺者でもやってたんだろうけど……。……護衛、か。


「……信じられないけれど、依頼主は?」

「町長」

「正直もいいとこね。少しは本音を隠すってのを覚えたら?」

「何、それ?」


こいつと話すのは非常にイラつく。こちらの皮肉が全然通じない上にマトモではない感性を持ってるから言葉の受け取り方が変な方向に行っている。


「ミグアは何も知らない赤ん坊だったりする?。でなければあたしを怒らせる天才ね」

「褒め、られた」

「一度死ね」


地を蹴り一瞬でミグアの目の前に移動し、同時にゼルを振り下ろす。大槌形態であるゼルは威力強化の魔術がかかる。ドワーフの正規軍人でも無防備に命中すれば確実に死ぬ一撃だ。

だがミグアは三歩分ほど横に跳び回避した。それでも服に当たっていたのか、腕の部分の布がハラリと落ちる。ルミナの動きを予想していた動きではなく、急にきたから回避したようだった。


「何、するの?」

「……武器を使えば押し合うこともできたでしょう。何故しなかった?」


大槌形態のままゼルを肩に担ぎルミナはミグアに問う。昨日戦ったときは両手に片手剣を持ち、押し合いをしていた。膂力だけであたしとやり合えるほどの強さを持っているはずだ。

それを今はしない。護衛だからとでも言うつもりだろうか?


「やる気、ない」

「ま、確かに昨日みたいな殺意は全くないし、殺すつもりなら声をかける必要もなかった。そう考えれば確かに合点がいくものはあるけれど……町長だったかしら?。そいつが暗殺依頼したでいいの?」


鎌をかけてみる。まるで感性が違うから答えが答えにならないはずだが、もしかしたら理解できる範囲にあるかもしれない。


「そう。でも、護衛も」

「はぁ?」


返ってきた言葉に呆れの声が出てしまう。依頼を受けた方も受けた方だが、依頼する方も依頼する方だ。やっていることから裏でやっていたのは私だと隠す気は全くないと言っているではないか。


「町長ね。敵と認識するには随分と分かりやすい役職だこと」

「敵?。魔力も、だけど、ルミナは、亜人、じゃ、ない?」

「あんたは口軽いから答えないわ」

「ドワーフ、よりも、恐ろしい、存在。違う?」

「あなたがそう思うならそう思えばいいんじゃない?。ドワーフが混じっているとは答えてあげる」


これだけは答えられる。どんな人が見たとしてもドワーフが混じっているのは人目で分かるのだから、否定しない方が不自然だ。もっともこれ以外はどんな質問にも答える気はない。


「じゃあ、ルミナ」

「……。ルミナって種族ってこと?。頭に回復系の魔術でもかけてもらってきたら?」

「頭に、傷ない、けど?」

「皮肉が効かないって厄介ね。変に実力があるせいで頭に拳骨喰らわすのも難しいし」

「褒め、られた」


本当にイラつく。無視してあたしのやりたいことを進めればそれでいいのだけれど、そしたら後ろからこいつは追いかけてくるでしょう。いつ暗殺にかかるかも分からない者を後ろにつける?、まるで正気ではない考えね。


となるとやるべきことは一つ。魔術による契約だ。


ゼルを指輪に戻し、魔力による強化を解く。そうでなければまだ碌な魔術が使えないあたしに、この魔術を成立させることはできない。

地面に足を伸ばして自分の肩幅を超える程度の半径をした円を描く。


「戦う意志がないのは分かったわ。こちらに来なさい」

「分か、った」


ミグアは無表情のまま円の中まで歩いていく。

地面に魔力を流す。魔力放出は魔力そのものを空中に留めて物理的に干渉できるようにするためできなかった。が、ダイダク達と移動していた時とあたしだけで移動していた時、魔力操作で足を強化して気づいた。


地面や地中なら魔力を放出できる。一人で行動していたときは無意識的に地面の強度を強化して蹴っていたのだ。それなら地面を通しさえすれば誰かさんの魔術が使える。その種類は誰かさんの1割どころか1%にも満たないが、汎用性のあるものが多少使えればそれだけで十分だった。


「じっとしてなさい」

「動、かない。分か、った」


地面に足先で文字を描く。ドワーフの文字だと今のあたしには十全に理解できてないところもあるし、何より誰かさんの認識が影響されることがあるかもしれない。だから使う文字は―漢字。

契約。そう地面になぞる。そしてそのなぞったところに魔力を放出して文字そのものに魔術を持たせる。


「ミグアと契約する。内容はあたしに敵対しないこと、対価はあたしの正体を知れる権利。但し他人に教えたらこの契約同様の罰が生じる。罰は魔力と生命力の9割をあたしに強制的に寄越すこと。聞きたいことは?」

「ない」


地面に書いた文字が光り、消えていく。同時に二人は(あか)い魔力の光に包まれる。(あか)い魔力は数秒と経たずに消え、契約が成ったのだとルミナはどこか確信を得た表情になった。


「さて、これであたしは安全を確保できた訳だけど……正体、知りたい?」

「いらない。聞きたくなったら聞く」


無表情こそ変わらないものの、さっきまでの口調を変えてミグアは流暢に言葉を出す。それを聞いたルミナは驚いていたが、すぐにどこか納得した様子で微笑んだ。


ブックマーク、感想、評価あると嬉しいです

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ