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ディアイン突入

ちょっと書き方を色々模索中。一章から全部改稿するかも

震えを抑えるように身体に言い聞かせながら、ルミナはデルスに何を知っているのかと問う。


「魂喰らい?」

「はい。魂喰らいは知性が高いものが多く、個体名を持っています。私が戦った時は高位軍人の一人に憑依し、名乗りを上げてきました」


ルミナは沈黙を保つ。しかしその目線はデルスに向けたままであり、続きをさっさと話せと催促していた。デルスも分かっており、話を続ける。


「厄介なのはその特性。非物質系なので何かに憑りついている時に撃滅すれば解決できます。が、そうでないときは魔力による攻撃しか通りません」


デルスが話す内容は魂喰らいと戦う際の注意点だ。確かにその通りであり、ルーナは言っていることを実行してあたしを破壊しようとした。

もっとも、その特性は願いを叶える程の武器を使うなら問題にならない。


「……ゼルなら関係ないわ」


あたしの武器はあらゆる存在に攻撃を通すことができる。硬すぎる物理防御であれば話は変わるが、魔力生命体である魂喰らいなら物理的に防げないため特攻的に効くはずだ。

これにはデルスも頷き、同意を示す。


「確かにそうです。私のこれでも魔力を纏わせるように武器を使えば直接実体を攻撃することもできます」

「なら特に問題ないでしょ?」


魂喰らいの災害をあたしたちの武器で粉砕し、撃滅する。解決手段はそれだけでいいのだから単純でいい。敵に通る攻撃も分かったのだから、頭に入れておくことが他に何かあるのだろうか?


「問題は子供です」

「……実体がどこにいるか分からない、と」


魂喰らいの災害は憑依する。憑依できる対象が多くいる場合、実体がどこにいるのか特定できないとも言い換えることができる。

あたしたちの攻撃は一撃で子供を殺せる。実体が見つかるまで鏖殺すれば解決はできる。解決はできるがその方法をとりたくないのだろう。あたしもできることならしたくない。


デルスはできることならと前置きして会話を続ける。


「子供たちを皆殺しにすれば問題ないのですが、生きているなら助けたい」

「子供を逃がしてから戦う?災害獣相手に?きつくない?」


足手まといを逃がしつつ戦うなど自殺行為だ。下手すればあたしもデルスも死ぬ可能性が見える。危険が高まるのは避けたいが、子供たちも助けるという目的を求めるならせざるを得ない。


目的に子供を助けることも追加する。……ああ、そういうこと。元々あたしは囮の役割なんだから気にする必要ないでしょうに。囮は時間を稼ぎながら注意を惹く役割なのだから。


「近衛がもう一人いれば話は変わったのですが、無いものをねだっても仕方ありません。囮役で大きく暴れてください」

「時間稼ぎも役割追加ってこと。こっちも災害獣に聞きたいことあるから大丈夫でしょ」


あたしは魂喰らいだ。生まれて一年も経っていない、身体を持っている魂喰らいなのだ。本来の魂喰らいは身体はないし、生まれて数年という個体が多いのだから対極に位置する状態なのだ。だから魂喰らいがどういった特性を持ち、どういった行動が可能なのかを経験的に知らない。魂喰らいという魔物を知識として知っているだけで、その本能を知らないのだ。

もしやつが魂喰らいなら、あたしがどういう状態なのか分かる。その考え自体も本能的に出てきたものだ。ならば聞かないという選択肢はない。


向こうは恐らく同種族であることには勘づいている。狙いを定めてきたのだから、詳細感知くらいはされててもおかしくはない。


「突入しますよ。準備は?」

「ガイード、来るときに試した服お願い」

「ルミナ、我は物理防御は災害といえるが精神的な防御はそれほどではない。十分に注意せよ」

「分かってる」


ガイードが展開され、漆黒のショート丈ドレスを身に纏わせる。相変わらずの威圧するほどの魔力であり、畏怖するような魅力すらも周囲にまき散らしていく。まるで我はここにいるぞと叫ぶかのように。


「囮の意味が通っているようで助かります」

「ふん。さっさと子供を助け出せ、時間がどれだけ稼げるかも分からんのだからな」

「分かってますよ」


ガイードの発破にデルスが軽く応える。拳と拳をコツンとぶつけるように二人はゼルと魔鉄棒をコツンと当て、その視線を洞窟へと向けた。


「行きましょうか」


デルスがコクリと頷くのをルミナが視認すると、二人は歩みを洞窟の中へと進めた。警戒を最大にして少しずつ進んでいく。洞窟の中には掘られたように道が続いており、感知したところ道の終わりは広間のようになっていた。

広間の様子を隠れて伺うが、異様と言う他なかった。


そこには子供たちが十数人、目から輝きを失って武器を片手に殺しあう光景が広がっていた。彼らに言葉はなく、大人の軍人かと見間違える程に素早く、力強い動きで殺し合っていた。

広間に続く穴に身を伏せ、通信魔術で二人は状況を確認する。ルミナはルーナの知識に現状にあてはまる事象を探しつつも目の前の光景に集中する。


「正気を失う?……面倒ね」

「違いますね。あれは魔術、災害獣がよく使う魔術です」


デルスから飛んできた情報を元に、ルーナの知識から予想される魔術を引っ張り出す。該当するものはすぐに見つかった。

災害を生み出すための生贄、生贄を捧げるための場所、生存本能を刺激させ、より強い個体となるための魔術だった。

そこからデルスへと危険を知らせる。この広間は間違いなく一方通行、入れば出ることはできないだろう。


「広間に入るのは危険よ」


返事はすぐに返ってくる。デルスにも知識があったようだ。高位軍人である上、以前に似た個体と戦ったことがあるのなら当然だろう。


「はい。広間にかけられてる魔術ですが、何体もの生命体を一か所に閉じ込め、その能力を殺し合わせることで限界まで高め合わせる。殺した者が殺された者の力を受け継ぐ。その繰り返しを行わさせる魔術です」


悍ましい魔術だが、何もこのレベルのことを行っているのはこの災害だけではない。他にも子供を作り、育てて親が喰らうなんていう災害もいる、それと同じことだ。未来の成長する可能性を作り、育てて喰らう。効率化させたのがこの魔術であり、その名は――


「――蟲毒の魔術。そうね?」

「ドワーフ軍の知識は確かそのように」


ならば間違いないだろう。

こんな魔術を使っているということは、狙いは最後に生き残る子供だろう。つまりは最後になる前まではやつは傍観しているはず。

残されている時間は、子供が一人になるまで。


「今のうちに叩けば魂喰らいは肉体がない」


コクリと頷くデルス。考えは同じで何よりだ。

感知から敵の居場所を探りたいが、ここから出れば広間になっている。広間に入れば即座に蟲毒の魔術に捉えられてしまうだろう。


となれば使うべきはこっちか。この穴が広間に繋がっているなら、この穴には奴が通った形跡があるはずだ。

かつてキグンマイマイの胎内にあった町、そこで使った過去を見る目、過去視を使用する。魔力制御能力が赤ん坊みたいなモノから成長した今、思考とリンクさせ目的とする光景が見えるまで遡って見ることができる。

そこで見つけたのは人のような姿をした黒い靄。おそらくこれが魂喰らいの災害だろう。


ルミナが過去を視ている間、デルスは五感・視力強化及び魔力視により広間に入らない範囲で索敵していた。幸いにも広間はそれほど広くなく、五感強化で気づける程だったからだ。そして笑うように座っている存在を見つけ、それを知らせるべく通信魔術を飛ばしていた。


「微かにですが、広間の奥に窪みがあります。あそこの奥に見えますか?」


過去を見ていたルミナは黒い靄を見つけたタイミングで通信魔術に気づき、デルスの情報の方へと目を向ける。そこには過去を視た時に居た黒い靄がいた。


「黒い靄ね?」

「災害はあいつですね」

「ええ、この場所の過去を視たから分かる。あいつね」


デルスも災害を見つけた。認識は一致したと言っていい。後はやつを撃滅するだけだ。役割も決まっており、行動も決めてる。あとはそれに従うだけだ。


「まずは蟲毒を壊しましょう」


隠れるように身を伏せていたが、目立つように立ち上がりゼルを大槌形態に変えて振り上げる。込める願いは蟲毒を壊して生きている子供を元の姿に戻すこと。

ルミナは五感を強化し、身体を強化し、蟲毒を作る魔術の結界へとゼルを叩きつけた。魔術が破壊された余波で広間から衝撃波が走り、ルミナ達が来た穴は崩落していく。


そしてルミナの瞳に移ったのは黒い靄の中にある、絶望よりも遥かに恐ろしい魂を喰らう深淵の視線。



「アア……ようやくアえる。ずっと、ずっと、ずーっと待っていましたよ」


何故だか、その声はとても安心できる声色のように聞こえた。

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