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ピース・オブ・ワーカーズ  作者: 彼方野 栞
1/1

Prologue,1 平凡な非凡

初めまして彼方野 栞です。

へたくそながらにもミジンコのように小さいころから物語を考えるのが好きでした。

大人になってやってみるとこんなに難しいもんなのですねぇ。

これから腕を磨いて、自分で読んでも、「もう一回読みたい!」と思えるものを書き上げていきたいです。

これから付き合っていくかもしれない皆様。どうぞご支援のほどよろしくお願い致します。



初めての物語となりますので、この prologue1では主にアクションに焦点を当てず、人物、商店事情を知ってもらおうかとの考えのもとに執筆いたしました。


次回からは少し心理的アクション要素を取り入れたものを投稿したいと思っております。


ではでは。お時間がある時にでも。

 

  アメリカの心理学者、アブラハムマズローはこう唱えている。



 ――人を変えたいなら、その人の意識を変える必要がある――




 チャラン♪



「いらっしゃいませ~!」



 とある町のとある田舎。

 草や川や虫が生い茂る穏やかで幸福そうなこの地域に一つだけ、異彩を放つ不幸そうな商店がある。



客「牛乳はどこかに置いてますか?」



 平和商店。

 名前に圧倒的敗北を期しているこの商店は店長の個人経営で、佇まいはコンビニとそんなに遜色はないとは思う。

 ただ、うちの社訓「無二の価値」の下に独特でマニアックな商品がラインナップされていることが問題なんだ。きっと店長以外は皆そう気づいているんだろうなぁ。厳しくも優しい世界。



パーマ先輩「サーセン。うちでは牛乳を取り扱ってないみたいなんすよねぇ。あ、でもこんなん置いてあるみたいっすね…豚乳!」



 一部からは根強い人気は博しているみたいだけど、普通の人目線っていうか一般的目線だと、売られている品物はナンセンス(店長クオリティ)なものばかりで、世の中の普遍的な商品はまず無いかな。まぁ全く売れないよね。

 何故、数十年近くも営業できているか謎で、地域では、都市伝説、七不思議として、あるいは表では言えないような裏稼業成り立っていると実しやかに囁かれているみたい。



メガネ副店長「英太(えいた)さん!お客様に対して失礼極まりない言葉遣いですよ!」



 キリっとした目にメガネをかけ、如何にも超ビジネスウーマンな女性は霧音(きりね)副店長。

 うちの経理担当で店長とは長い付き合いなんだって。


「節約よ!!」って毎回鬼人のごとく右手を乱舞するため店内は常に暗め。

 祭りの日になると子供、カップル達がお化け屋敷と勘違いして入店することも恒例みたい。

 ある意味地元の名所としてウチが語られていることに一役買っているかもね。



英太「いやぁサーセン霧ねぇちゃん♪次からは気を付けるよぉ。」


霧音「ちょっと…上司に向かって…その口の利き方はなんですかああぁあ!!」


 シュパパ♪


英太「ああ”ぁ”ーーーーーーーーーー!!!」



 この霧音さんに(さば)かれ…否。教育されている茶髪パーマの男性は英太(えいた)先輩。

 俺より2歳年上で、いつも店の制服を独特な着こなしをしているよ。


 売場責任者で接客しながらの商品陳列はまさに神の領域で、もし仮に陳列オリンピックなんてものが開催されたら日本代表に選出され、軽々とメダルを下げて、鼻高く首長くして帰ってきそう。だけど接客はほとほとボロボロで、よく霧音さんにシバかれ…否。教育されている。



バイト女性「え?なに!?しゅぱぱ!?」



 この女の子は中高大を同じ学校で過ごした、華多叶恵(はなた かなえ)。俺はハナちゃんって呼んでるよ。

 卒業してまさか職場も同じになるなんて思ってもなかったなぁ。


 外見は黒髪のショートにはっきりとした目の隣のホクロが特徴的。一般的にかわいいといわれる種族に属するのだろうけど、子供のころからの付き合いで、そういった感情はあまり沸いたことがない。多分ハナちゃんも同じだと思う。


「夢は女優さっ!」っていうだけあって、ビジネススマイルは俺でもドキッとする時があるよ。

 ファンもできて、ハナちゃんのおかげでウチは回っているのかも。と思ったりする。



霧音「んん”っ!…お客様、お見苦しい所を申し訳ございません。しかし、こちらの豚乳は非常に美味でございますよ!」


客「い、いや、結構ですぅ…あっ!わたし用事思い出しちゃった!ま、また今度きますねぇ!う、うふふ…」


ゆるふわ美女「またのぉおトしを、おまタしてますぅ~。」



 危うい日本語をたどたどしく使う、ゆるふわ金髪美女様はレジ責任者のルイーズさん。

 皆親しみを込めて「ルイさん」って呼んでる。


 まだ日本に来たばかりみたいでやたらと日本語を間違えるけど、「そこがまたぁたまんねぇよなぁ!」って英太先輩が力説してた。そういわれるとたまらなく感じる…。


 溢れ出る優しい穏やかなオーラに、男性客のみならず、女性のお客さんもつい笑顔が零れることもあるくらいテンプレ以上の癒し系だよ。でもその変わりに信じられないくらいミスが多くて、総計1500円の商品を150円で売ってしまったりと、店長の頭痛の種が芽を咲かせようとしているのが目に見えそうだよ。



店長「NO~!!ルイさん!NO-オマタっ!。でもいつも通り笑顔は可憐だよっ!!」


霧音「チッ…店長…注意がぁ甘すぎるの で わっ!?」

 ザシュッ!


華多「ざしゅっ!?」


店長「す、すいません!!だからもう許し…てっ…」

 バタッ



 この霧根副店長の足元に転がっている人こそ、この「平和商店」の店長さん。

 名前、年齢すべてが謎に包まれた雄。ロマンスグレーの髪をオールバックにし、白いヒゲを靡かせたダンディズム臭プンプンの人。


 根拠の在りかなど度外視した自信から来る、太陽のような元気のおかげで心なしか売場に多少の明かりが灯されている気がする。そして、店舗を破滅への一途をたどらせている第一人者。太陽神の代償は絶望的なセンスを持ち合わせちゃったことだな。

 商品発注は独自の選定で、まぁ売れない。もしかしたら俺が発注したほうが売れそうかなぁ…なんて思ったり。

 でもこの人のおかげで楽しい人生が送れていることは間違いないんだろうけど。



俺&英太「てんちょうおおぉぉーーー!!」



 で、最後にアルバイトの俺、心未滝丸(ここみ たきまる)


 と、まぁこんな感じで店長、副店長の霧音さん。レジ責任のルイさん、売場責任の英太先輩、そしてアルバイトのヤマちゃんと俺を含め、総勢6名で営業してるよ。


 基本8時間勤務で週休2日。時給は700円くらい?かな。深夜手当は要相談。一見すると週5日勤務だし、低賃金。

 店の魅力も無いのに「良くこんなところで働こうと思ったよな」って思うよね。いやぁ正しい正しい。同期からは馬鹿にされるし、両親には心配される。やっぱり辛いのは女の子に「あんな所で働いてるなんて、あいつ本当に化け物なんじゃない?」って思われてる…気がする事。


  「じゃあ何でこんな所で働いてるの?バカなの?」って思った?わかるわかる。

 ただ、ここ平和商店では特別で魅惑的なボーナスがあるんだ。俺にとって「生き甲斐」とも言えるけど大袈裟かもね。

 ボーナスは誰でも貰える訳じゃ無い。成果次第では0円だったり、逆に車が買える程貰えたりもするんだ。(まぁそんなに貰ったことはないけど)

 さらにボーナス評価期間中は考えられないくらいシビア。なんて言ったってボーナスと天秤に掛けられてるのは人生、未来だからね。

 比喩的な意味抜きで命がけで働くって感じかな。


 兎に角この店で働いていることに何だかんだ正直満足してるんだ。世の中の人に前習えをせずとも、「自分」って存在が消失せず、鼓動を打ちならしていることに本能的スリルを感じるんだ。


 でもやっぱり気軽にオススメはできないかな。

 え?ただの残念な商店アルバイトじゃなかったの?だって?


 ふふっ。教えてやろう。何を隠そう俺達は日本の平和を守る、天才詐欺集団なのだぁ!!へへっ。


 (……あれ?ヤバイ喋り過ぎちゃったかな…守秘義務言っちゃったかな?…き、きこえてないよね!)

 だから秘密ですっ。…今はね。



 ではではこれから始まる、平凡に非凡を装った、俺たちの喜劇、悲劇、活劇をお見逃しなく。



 continued…

お読みいただき誠にありがとうございます。


またのお越しをお待ちしております。

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