表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/14

第十一章  ぬけがら

両親に続いて妹を亡くし、覇気がありません。

 僕は目を覚ました。アァシイーの骨は夕べと変わらず目の前にあり、朝日に当たって、白く清潔に輝いていた。

「死んでからの方が、雄弁だな、アァシイー。僕らは、きょうだいなのに、一度しか会えなかったな。これから平凡な日常を一緒に暮らす方法を、考えて、いたのに、もう、何も、できない、な。」骨は返事してくれなかった。

僕はアァシイーの骨を布に包んで、両親の墓に向かった。地上の季節は変わっても、地中では両親とそれを取り巻く曜変天目茶碗が変わらず(とど)まっていた。小山程もある土まんじゅうは、あれからさらに雨に打たれ草を生やし、一見しただけでは何かが埋めてあるとはわかりにくくなっていた。僕は注意深く穴を掘り、アァシイーの骨の一部を埋葬した。僕が人骨とわかるものを持っていたら、空港で拘束され、取り上げられるだろうから、大きな骨は両親のそばに分骨した。三人はもう寂しくないだろう。骨の欠片(かけら)や粉だけを僕は日本に連れ帰ることにした。もうこの墓を訪れることは二度とないだろう。よそ者が度々(たびたび)訪れて、不審がられるような()を犯してはならない。僕は両親の姿を目に焼き付けた。当然だが、二人ともアァシイーに少し似ていた。きっと僕もそうなんだろう。自分ではよくわからないが。



 日本へ帰国しても、僕は大学にも行く気になれずにいた。アァシイーの骨は瀟洒(しょうしゃ)な蓋付きのガラスの容器に移し替えて、部屋に置いて、向かい合った。

 祖父母はそんな僕に何も言わなかった。僕は祖父母とほとんど口を()かなくなっていた。それまでは、暗くなりがちな家を明るくしようと、わざとふざけて笑わせようと気を使う孫だったのだが。遅れて始まった反抗期か、祖父母の機嫌など、どうでもいいことに感じられた。



お読みいただきありがとうございました。

ぜひ続きもご覧ください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ