第十一章 ぬけがら
両親に続いて妹を亡くし、覇気がありません。
僕は目を覚ました。アァシイーの骨は夕べと変わらず目の前にあり、朝日に当たって、白く清潔に輝いていた。
「死んでからの方が、雄弁だな、アァシイー。僕らは、きょうだいなのに、一度しか会えなかったな。これから平凡な日常を一緒に暮らす方法を、考えて、いたのに、もう、何も、できない、な。」骨は返事してくれなかった。
僕はアァシイーの骨を布に包んで、両親の墓に向かった。地上の季節は変わっても、地中では両親とそれを取り巻く曜変天目茶碗が変わらず留まっていた。小山程もある土まんじゅうは、あれからさらに雨に打たれ草を生やし、一見しただけでは何かが埋めてあるとはわかりにくくなっていた。僕は注意深く穴を掘り、アァシイーの骨の一部を埋葬した。僕が人骨とわかるものを持っていたら、空港で拘束され、取り上げられるだろうから、大きな骨は両親のそばに分骨した。三人はもう寂しくないだろう。骨の欠片や粉だけを僕は日本に連れ帰ることにした。もうこの墓を訪れることは二度とないだろう。よそ者が度々(たびたび)訪れて、不審がられるような愚を犯してはならない。僕は両親の姿を目に焼き付けた。当然だが、二人ともアァシイーに少し似ていた。きっと僕もそうなんだろう。自分ではよくわからないが。
日本へ帰国しても、僕は大学にも行く気になれずにいた。アァシイーの骨は瀟洒な蓋付きのガラスの容器に移し替えて、部屋に置いて、向かい合った。
祖父母はそんな僕に何も言わなかった。僕は祖父母とほとんど口を利かなくなっていた。それまでは、暗くなりがちな家を明るくしようと、わざとふざけて笑わせようと気を使う孫だったのだが。遅れて始まった反抗期か、祖父母の機嫌など、どうでもいいことに感じられた。
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