プロローグ
自由気ままに書いていますので、暇な時にちょっと読んでもらえると嬉しいです
「あー、暇、なんかすることねぇーかなー。」
大学に通う20歳の普通の男性、鎌倉俊一、いつも通り休日することがありません。
あーあ、いきなり異世界とかに飛ばされたりしねぇーかなー。
いやいや、現実と理想はだいぶ違うか。俺がそうなったとしても理想通りのチートやらが手に入る可能性はほぼ皆無。俺は多少雑学程度に色々知っているけど、実際ひとりで何が出来るか?いやいや無理だろ。
あ、コーラがもう無くなったわ。買いに行こ。
それにしても、いつまでもこの家にいるわけにも行かねーな。
そろそろ実家から離れて一人暮らししてぇーな。
あ、そういえばこのヘッドホンは音質最高だな。やっぱり5万したし、こうじゃなきゃな。
そろそろコンビニだな。.........って、信号赤かよ。ついてねーな。
.........いつまで待つんだ?
.........ん?なんかおかしいぞ?
ちょっとヘッドホン外して.........あれ?
待て待て、なんだ?鳥が.........空中で静止?
はは、なんの冗談だ?これは何か、夢でも見てるオチか?
『いえ、あなたと話すために時を止めさせていただきました。』
「.........何?一体どこから話聞けてやがるんだ?」
『私は、あなた達が神と呼ぶ存在とほぼ同義と思ってください。これから理解できないことも多くあるかもしれませんが、私が言い終わるまで質問は待ってください。良いですね?』
「.........とりあえず、わかったよ。」
なにがなんだかさっぱりだがな。話が進まねぇからここは譲るか。
『わかって頂けたようで何よりです。まず、あなたは今この時から5秒後死ぬことが決定しました。これは変えようのない真実です。』
は?死ぬって、俺がか?
『そうです。そして、いつもであれば輪廻転生という言葉通り、死人の魂を浄化し、新たな生命に宿すのです。しかし、あなたが死んでしまうのはこちら側、つまり、神と呼ばれる存在側の不手際によるもの。それなのに、あなたの人生を勝手に終わらせてしまうのは可哀想だという結論に至りました。なので、あなたには特別にある世界へと記憶や魂全てそのままに、転生させます。これに異論はありますか?』
あー、なんか、夢がかなった気分だが、死んだ理由が納得いかない。それでも......
「まあ、しょうがないと割り切るわ。構わないよ、俺は。」
『そう言っていただけるとこちらも助かります。あなたがこれから転生される世界は、この世界とは根本から違います。魔法があり、魔物という危険な生命体も数多く存在します。ですがご安心を、あなたには特別処置として、3つ、恩恵をさずけましょう。あなたの世界でわかりやすく説明するなら、RPGの初めに、チートを3つまで使用可能として、楽に進められる感覚です。さらに、向こうの世界では、レベルという概念が存在します。こちらの世界では鍛えるにつれて徐々に筋力やら知力などが少しずつ上昇しますが、あちらの世界はレベルが上がるまで何一つ上昇せず、代わりにレベルがひとつ上がると、一通りの能力が上がる仕組みです。向こうの世界の一番の常識となってますので教えておきます。』
ふーん。じゃあ何か、俺はRPGに合法でチート持ちになれるわけか。そりゃいいな。
『さて、それではその恩恵についてです。あなたが望まれるものにしたいのですが、希望はありますか?』
そうだな.........レベルがあるってことは.........
「レベルってのは、経験値を得ることで上がるってことだよな?その経験値ってのは、どうやって決まるんだ?」
『基本的にあなたの世界にあるRPGのように、決まったことをすると、それに対して相応の経験値を得ます。魔物を倒した場合、その魔物の種類に応じて、最後にとどめを刺した人に経験値が入る仕組みです。』
「その経験値は、恩恵でどのくらい増やすことが出来るんだ?」
『千倍までなら、可能です。』
千倍......破格だが、情報が少しだけ足らないな。
「なら、恩恵二個分で、百万倍ってのは可能なのか?」
『ええ、可能です。』
そうか、それなら、そのくらいにしとこう。もう一つは......
「さっき、魔法があるとか言ってたが、これにはなにか法則とかあるのか?」
『基本的にはありませんね。基本的にイメージで魔法を発動させますから。ただ、これは周知の事実ではありません。詳しくは向こう側に行けば分かります。そして、魔法はあくまでマジックポイント、MPに依存します。MPが多い方が使える魔法の種類も、強さも自由自在になっていきます。』
ということは、魔法は使おうと思えば使えるもの、と考えてよさそうだ。
さらに言えば、俺が二つ分の恩恵を経験値に使ったことでMPについては大丈夫だと考えられる。
それなら、魔法についての恩恵は無しで良さそうだ。いちよう高校は県内最高だし、大学だってだいぶ上位、それなりの知識も付けたからな。それに加えて、色々なゲームやアニメ、ラノベなどでイメージ力もあるだろうし。今もいくつか思いつくものがあるから、それに関しては心配なし、かな。
そうなると、あと一つ、何か......
『何か思いつきましたか?』
急かすなよ。もう少し待ってくれ。
『わかりました。』
.........さっきから薄々思っていたけど、心の声がだだ漏れじゃん。
まあいいや、それよりもあと一つ何か......あるか?
生まれとかは、この際どうでもいい。レベルさえ上がれば何とかなりそうだ。
あらゆる価値が分かる、とかどうだ?便利そうだ。
うーん、でもなー......他になにか......
あ!
「この世界のネットにアクセス出来る、とかダメか?」
『流石にそれは......』
ですよねー。駄目元で聞いただけだし。
うーん、じゃあなにがあるだろうか......
『あの、経験値の恩恵を、認めた人に分け与える的なのは、どうですか?』
え?それって意味あるか?
『そうですね、向こうの世界で、あなた1人では出来ないこともあるかもしれません。それでも、あなたほどではなくとも、少しだけでも強い方が、そして信頼できる方が居れば可能になることもあるかもしれません。実際、人を守る戦いをあなたがする時、絶対に苦労します。そんな時、あなたの守りたい人がある程度の実力を持てば、それだけ楽になるというものです。』
守りたい人、ねぇ。俺にそんなのができるのかね。
実際、この世界でそんな大層なものはできた覚えがない。
両親も、友達も、好きになった女も、命をかけてまで守りたいなどとは思ったことがない。
でも、まあ、思いつかないしな。
「なら、そういうのでいいです。経験値千倍の恩恵を、俺が認めた時、その人に一時的に与えられる、そんな恩恵でお願いします。」
『わかりました。では、転生させます。あなたの人生に幸あれ。』
こうして俺は、2度目の人生を得た。