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#08

「心也! 菜乃花に清書してもらったけど、これでいい!?」


 菜乃花の綺麗な字で書かれた係表を突き付けられた心也は、少し驚いた様子で表を見る。ドヤ顔気味の四季に、心也はフッと笑って、


「……いいんじゃね」


 四季はなんだか笑みを隠せなかった。こんな毒舌最低男なのに、やはり褒められると嬉しいものだ。


「な~のか~、OKもらったよ~!」

「よかったねぇ!」


 四季は、菜乃花と手を取り喜んだ。


(……さてと、どこかに貼りますか)


 四季は、係表をわかりやすい場所に貼った。


「にしても、マジで四季先輩字下手くそっすね」


 ケラケラと笑う玲央に、四季は「何だとっ」と食いつく。すると、玲央の隣に座っていた蘭も口を開いた。


「確かに、四季先輩は下手くそですけど、菜乃花先輩が上手なだけじゃないですか? 玲央君、失礼ですよ」

「蘭も下手くそって思ってんだな」


 更に笑いを増す玲央。四季が椅子から立つと、玲央はヤバいと思ったのか、逃げ出した。四季は、玲央だけでなく蘭も追いかけた。


「まぁまぁ。三人とも落ち着いて」


 そんな中、一番落ち着いている菜乃花が四季と玲央と蘭に落ち着くよう促した。三人は、もともと座っていた席に戻る。


「……それより、四季先輩って意外といろいろ考えてるんですね。係なんて、誰も思いつきませんよ」

「確かに。四季ちゃんって凄いよね」


 菜乃花と蘭が褒めすぎなくらい褒めるので、四季は「えへへ。そうかなぁ」と頭を掻く。


「やっぱり、最高の一年間にしたいと思ってね!」

「そうだよねっ。他には何か考えてるの?」

「うーん。まぁ、誕生日皆で祝えたらなぁ、くらいかな……」


 まだ殆ど考えていなかったので四季が言葉を濁すと、菜乃花が「うん、いいね!」と目を輝かせた。蘭も、同じように目を輝かせる。


「誕生日っすか? なら、俺が一番最初に来るっすね」

「そうなの? いつ?」

「四月八日っす!」

「四月八日って……」


 四季、菜乃花、蘭の三人は、頭の中にカレンダーを思い浮かべた。暫くの沈黙の後、三人は一斉に口を開いた。


「「「明日じゃん!!」」」

「そうっすね!」


 そう言って、玲央は笑う。すると、蘭が「じゃあ」と口を開いた。


「明日お祝いする為に、今から準備しないとじゃないですかぁ!」

「そ、そうだね。じゃあ、私はケーキ屋さんに――……」


 菜乃花がスマートフォンを取り出して、近場のケーキ屋を調べようとすると、玲央が「いいっす!」と口を挟んだ。


「いいっすよ、祝おうとしなくて」

「え? 何で?」

「今更無理そうじゃないっすか? それに、蘭や先輩達の気持ちだけでも俺は嬉しいっす!」

「玲央……」


 玲央は、今までのバカらしい笑い方とは違う、清々しい笑顔を見せた。四季は、逆にそれが胸に刺さった。


「じゃあ、玲央君がそう言うなら……」

「ダメだよ!」


 突然大声を出した四季を三人は一斉に見た。四季は、玲央に言いつけた。


「ダメ。そんなの、絶対ダメ。気持ちだけで嬉しいとか、ただの綺麗事だよ!」

「四季ちゃん……?」

「誕生日は一年に一回しか来ないんだよ!? それを祝わなくてどうするの!」

「四季先輩……」


 四季は、強い眼差しで玲央を見つめた。玲央は、観念した様子で、


「……やっぱり、祝ってほしいっす」


 そう、口を溢した。玲央の言葉に、四季達三人は、自然と笑みが溢れた。


「んじゃ、早速準備しなくちゃね!」

「私、ケーキ屋さんに電話してみるね!」

「蘭は四季先輩のお手伝いをします!」


 早速動き出す女子達に、玲央は驚きを隠せていない状態だった。唖然としている玲央に、四季は振り向いて、


「明日の誕生日、楽しみにしてなさいよっ!」

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