#06
「皆さん、これを見てください!」
住人全員が帰宅した午後七時頃、四季はひとつの紙を突き出した。リビングで各自自由にしている九人の住人達の視線は、一気に四季の手元に集まった。
「何よ、それ」
「夕食調理係の表です!」
千寿の質問に、四季は堂々と答える。四季の言葉を聞いた千寿は「はぁ?」と眉をしかめる。不満そうな千寿や、ちゃんと四季の話を聞こうとしてくれてる皆に四季は説明した。
「皆平等にする為です! 今日は、こうして菜乃花が変わりに作ってくれてますが、明日からはこの表どおりに行ってください!」
「何それ。めんどくさいんだけど」
「めんどくさいとか言って、ホントは料理できないだけじゃないですかぁ?」
蘭が千寿をバカにするかのように言う。それを聞いて千寿は、火がついた。
「できるわよ! ナメないでよね!」
「うるさいです、オバサン」
「『オバサン』は止めなさいって――……」
「はいはい、ストーップ!」
エスカレートする千寿と蘭の争いを止めるべく、四季は二人の間に入った。そして、蘭の方を向いた。
「蘭、『オバサン』はダメ。ちゃんと名前で呼ぼう? 『千寿さん』って」
「えぇ、何でですか?」
「仲を深める為。ちゃんと名前で呼びあったら、仲良くなれそうじゃない?」
「まぁ、確かにそうですね……」
「うん。皆さんも、そうしてください! その時の注意なんですけど、歳上の人に呼び捨てはダメですよ。常識的に」
皆、納得したように頷いた。ホッと胸を撫で下ろすと、「あのっ!」とパワフルな声が耳に入った。嫌な気配を感じながらも、「何?」と質問者 玲央に聞いた。
「歳上の人に、『さん』じゃなくて『先輩』ってつけてもいいっすか?」
「……まぁ、問題ないと思うし、いいよ」
「あざっす! 俺、ずっと心也先輩のファンだったんすよ!」
そう言って心也のもとに駆け寄る玲央。心也は嫌そうに「……は? ファン?」と玲央に聞いた。
「そうっす!」
「……アンタ、ファンがいる程有名なの?」
「……知らね」
心也がそう言うので、四季は玲央に「そうなの?」と聞いた。
「いや、俺もよく知らねっす」
「知らないのかい!」
(なのにファンとか、意味わからないんですけど!)
調べてもわからなそうだったので、玲央は何故心也のファンなのか、は謎のままにした。




