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#60

 あっという間に月日は流れ、ひなぎく荘取り壊し前最終日となった。

 住人達は荷造りの最終チェックなどをし、終わった者から荷物を外に出していた。


「今日で、このひなぎく荘ともお別れかぁ……」


 ひなぎく荘の真ん中に立ち、綺麗になった部屋の中を見回した。

 キッチンの前に貼られていた当番表。あれを作る時は、いろいろもめたっけ。日本語がわからなかったミリアに千寿が腹を立て、英語付きになった表。それももう、剥がされていた。

 トイレの横の棚があった壁には、蘭が書いたひなぎく荘メンバーの名前がくっきりと見えていた。まさか、あの時話していた事が現実になるなんて、思いもしていなかった。

 全ての事が懐かしく思えてくる。涙が出そうになったので、顔を思いっきり左右に振った。その時。


「皆さん、朗報です!」


 バタバタと、玄関から走ってくる音がした。どうやら、最後の日という事で、泉が顔を出しに来たらしい。それにしても、『朗報』とは何の事だろうか。

 泉の声を聞いて、住人達はリビングに集まった。泉は全員がいる事を確認すると、その『朗報』とやらを発表した。


「ひなぎく荘、取り壊されない事になりました!」


 その瞬間、ワアッと湧いた。取り壊されない、つまりまたこのひなぎく荘で暮らせる事がわかった住人達は飛び跳ね喜んだ。


「んもう、泉さんったら言うのが遅いわよぉ。荷造りしちゃったじゃない」

「そんな事言って、ホントは嬉しいくせにっ」


 からかう蘭に、千寿は「煩いわねっ」と少々顔をニヤつかせた。


「……あ、でも、もともと出る予定だった人はいなくなっちゃうんですよね?」


 菜乃花の質問に、一斉に静かになった。泉は、「まぁ……」と頷く。


「四季ちゃん、心也君、玲央君、ミリアさん、智宏さんの五人は退去になっています」


 泉の言葉に、更に空気は重くなった。そんな中、四季はわざと明るい声を出した。


「まっ、もともとその予定だったし!」

「それに、既に新しく入居する住人も集まりましたし」


「新しく入居する住人」という言葉に、ひなぎく荘に残る菜乃花、要、蘭、康太、千寿は目を輝かせた。


「皆さん、今まで本当にありがとうございました」


 四季に続いて、退去する四人は頭をさげた。これが本当の別れだと知って、涙を流す住人もいた。四季も、要や菜乃花とは学校で会えるが、遠くに引っ越す玲央、もっと遠いイギリスに帰るミリアなどとは、もう一生会えないかもしれない。そう思うと、自然と涙が出てきた。


「絶対、遊びに来なさいよっ」


 強がる千寿の言葉に、四季達は笑顔で返事をした。

 笑って大好きなひなぎく荘を去れる事に嬉しさを抱き、ひなぎく荘をあとにした。


 笑ったり、泣いたり。喜んだり、怒ったり。悲しんだり、楽しんだりしたひなぎく荘でまた新しい一年が幕を開ける。かも?



 Fin.


以上で完結となります。

長らく読んでいただき、ありがとうございました!

感想や評価など、よろしければお願い致します。



柏原ゆら

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