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#53

「はぁぁ、冬休みももう終わりかぁ」


 テーブルにべとっと寝そべって、そう溢す。

 冬休みが終わるとすぐ、二月中旬にある学年末テストに向けてテスト勉強が始まった。学生である四季、要、菜乃花、蘭、玲央の五人は、シャーペン片手にテーブルに向き合った。ちなみに、康太は独自の勉強法があるらしく、独りで自室で勉強中。心也は、ノー勉でもある程度の点数は取れるのだ。


「ほらっ、四季ちゃん、サボらない」


 コツ、と要にシャーペンで優しく叩かれる。う~~~と唸りながらも、しぶしぶシャーペンを握り直した。仕方なく問題に取りかかろうとすると、インターホンが鳴った。蘭が玄関まで駆けて行く。何やら話すと、蘭が「ちょっと待ってください!」と叫んだ。勝手に中に入ってきたようだ。すると、その人は住人達に向けて言い放った。


「碧波要はどこ?」


 名前を呼ばれた要は、ピクッと身体を反応させる。顔をあげた瞬間、一気に顔を強ばらせた。その姿を不思議に思っていると、先程要の名を呼んだ人の後ろから、妙な女子が一人、出てきた。


「要様ぁっ!」


 要様!? と、住人達は一斉にそう口にしかけた。そんな間もなく、要を『要様』と呼んだ奇妙な女子は、要に抱きつく。それを見た四季は、悲鳴をあげたい衝動にかられた。当の本人は、訳がわからない、といった表情をしている。


「あの……誰ですか?」


 要が切実に訊ねると、奇妙な女子は「えぇっ!!」と一気に悲しそうな表情になった。


「忘れてしまわれたのですか? わたくしですよ! 早乙女藍羅(さおとめあいら)でございます!」

「早乙女、藍羅……?」


 要は、早乙女藍羅と名乗る女子の名を呟く。すると突然、何かを思い出したかのように「あぁっ!」と声をあげた。


「もしかして、あの時の藍ちゃん……?」

「そうでございます! 思い出してくださったのですね!」


 嬉しいですっ、と言って、早乙女藍羅は要の腹の部分に顔を擦り付ける。そんな彼女を、要は止めた。


「ちょ、ちょっと! もう、抱きつかないでもらえるかな……」

「何故ですか? わたくしは、要様の許嫁ですのに」

「許嫁!?」


 どうやら、早乙女藍羅は要の許嫁らしい。

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