#04
次の人は、なかなかパワフルな男子だった。
「静風中二年、上原玲央! 趣味はゲーム! よろしくっす!」
(……ちょっとうるさ)
四季が言える事ではないと思うが。
玲央の自己紹介に、蘭が反応した。
「わぁっ、蘭と同い年ですね!」
その言葉を聞いた玲央は「マジか!」とテンションを上げる。
「よろしくお願いしますね、玲央君!」
「おうっ。よろしくなー、蘭!」
楽しそうに会話をする蘭と玲央を見て、千寿は悪戯な笑みを浮かべた。
「同い年が見つかったくらいで調子いいわね、アンタ。そんなに嬉しいかしら?」
「当たり前じゃないですかぁ。オバサンは黙っててください」
「オバサンってなによ! まだ二十四なんだけど!」
再度始まる言い合いを危険だと察知した玲央は、その場から遠退いた。四季は、またまた蘭と千寿をほっとく事にした。
次の人は、落ち着いた男性だった。
「八雲智宏、IT系の会社の派遣社員。二十七歳。趣味は呑む事。よろしくね」
智宏の自己紹介を聞いて、一番最初に反応したのは千寿だった。
「へぇ、二十七なんだぁ。近いわね」
獣を狙うかのような目で智宏を見る千寿に、四季は軽蔑の眼差しを向けた。同じような目を向けている蘭が何か言いそうだったので、争いを起こさない為に次にいくよう命じた。
次の人は、例のアイツだった。
「……高峰心也、山吹学園高等部二年。特になし」
「特になし」というところに四季はツッコミたかったが、言ったところでまた何か言い返されるに決まってる、と思ったので何も言わなかった。
(……あれ? こいつ、山吹学園って言ったよね? 山吹学園って、めっちゃ頭良い所じゃ……)
「山吹学園なんですか!?」
そう心也に聞き返したのは、意外にも菜乃花だった。菜乃花の質問に、心也はめんどくさそうに「そうだけど」と答える。
私立山吹学園というのは、県内トップクラスの進学校だ。初等部から大学部まであり、一般的にいうと小学校から大学までがひとつになっている大規模な学園なのだ。進学校という事もあり、勿論それほどの学力がないと入るのは厳しい。
(まさか……こんな毒舌最低男が山吹とか何かの間違いだよ! だって、頭良さそうに見えないもん! 絶対バカだよ!)
頭の中でいろいろ否定している四季をよそに、心也は「早く次いけよ」と勝手に命令した。
次の人は――……
「あのー、起きてますか?」
何故か寝ていた。
四季が声をかけても、その男性は反応しない。声をかけながら体を揺すると、男性はピクッと動いた。そして、ゆっくりと目を開け、いかにも『寝起きです』という顔で四季を見た。
「……何?」
「何って……話聞いてました?」
「……聞いてない」
そう言って、欠伸をひとつ。
(明らかに寝てたなこの人!!)
四季は、はぁ、とため息をついて「自己紹介してください」と言った。
「……藤康太、桃咲高校二年ですよろしく」
眠そうに言うので、四季はこれ以上の事を要求するのは止めた。
これで一応全員の自己紹介が終わった訳だが、四季はいまいち内容が頭に入っていないような気がした。
(……まぁ、自己紹介中にもいろいろあったもんね)
周りを気にせず寝ている人、めんどくさそうにしている人、仲良さそうに話している人。纏まりがない住人達を見て、四季は思った。
(最初は楽しそうだと思ったのに、正直めんどくさそうで大変そう。だけど……長になったんだし、最高の一年にしてやるっ!)




