#48
わーわー騒いでいると、二階から要が降りてきた。なんか楽しそうだね、と微笑む。
「最悪……」
そんな中、四季は呟いた。思いっきり嫌がっている表情で、亜季に訊ねる。
「いつ帰るつもり?」
その質問に、亜季は蘭達と騒ぎながら答えた。
「気が向いたら帰る。ってか、明日も来る」
「はぁー?」
「だって、姉ちゃんが気になるだろ?」
うえぇ、と眉間に皺を寄せる。亜季はわりと真面目に言ったのだが、四季はいつまでも嫌がっている顔だ。
(この、シスコンがぁあああああ!)
心の中でそう叫ぶと、はぁはぁ、と息を切らした。本当の事を知らない第三者の住人達は、いい弟だねぇ、と感心した。
「あのさぁ、もう私の事はいいから――」
「もしかして、好きな奴とかできたのか!?」
最後まで言い終える前に、亜季は顔をつきだして訊ねた。その途端、四季はガタッと崩れ落ちる。それと同時に、要と心也の肩がビクッとなった事は、余裕がない四季にはわからなかった。
「ちょっ! そんな事一言も――」
「本当にいないのか!? もしできたら、そいつは俺がぶっ倒す!」
亜季は「絶対教えろよな! 四季にカレシとかあり得ねぇぞ!」と、念を押す。四季は、奇声を発するしかなかった。亜季の本性がわかった住人達は、哀れみの表情を浮かべた。
「じゃあ、俺はもう帰る」
ふと、亜季はそう言った。四季は、心の中でガッツポーズする。
「あと、さっきは明日も来るって言ったけど、もう来ない」
更にガッツポーズ。
「四季もそうしてほしいんだろ?」
「おう、よくわかったね」
「だって、俺達はいつでも繋がってるだろ?」
その瞬間、沈黙が流れた。数秒した後、「おい!」と亜季が口を開いた。
「そこは突っ込めよ!?」
「……気持ち悪い事言うなし~」
四季は冷めた目でそう言った。お怒りになった亜季は、ドスドスと玄関へ歩を進めた。「そういえば」と、亜季は振り向く。
「母ちゃんが、月に十五回は帰ってきなさいって言ってたぞ」
そう言い残して、出ていった。
(この、モンスターペアレントがぁあああああ!)
四季は再び、心の中で叫んだ。




