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#42

 十月にさしかかり、街では今月末にあるハロウィーンの話題でいっぱいになっていた。


(だからと言って、どうという事じゃないけどね)


 衣替えの時期となり、ひなぎく荘にも冷たい風が吹き込んでくる。そんな寒さに耐えながら、テレビをスイッチオン。テレビからも、どこぞのアイドルがハロウィーンに向けての新曲を出したという、ハロウィーンの話ばかりだった。だが、四季はハロウィーンの行事等に興味はない。正直、めんどくさいと思っていた。だが、ひなぎく荘には、そういう行事好きの住人がいる。


「ハロウィーンパーティ! しない!?」


 菜乃花だ。まぁ、大体予想はついていたが、本当に言うなんて。期待を裏切らない。

 さっきも述べたように、正直めんどくさい。だから、断りたいものだが、菜乃花のこの輝く瞳はズルい。ダメと言えなくさせてしまう。


「……う、うん。やろっか」

「やったぁ!!」


 いつもは大人しい菜乃花が、今は幼い子供のようにはしゃいでいる。珍しい光景だ。


「ハロウィーンパーティやるんですか?」


 二階から降りてきた蘭が、四季達に問う。それに対し、菜乃花は嬉しそうに頷いた。その瞬間、蘭のテンションが先程の菜乃花のようになる。手を取り合って喜ぶ輪の中に、それほど喜んでいない四季も無理矢理入れさせられた。その時、ふと思った。


「……心也、嫌って言いそう」


 四季の言葉に、菜乃花と蘭の動きは止まる。確かに、と言わんばかりの表情で俯いた。すると、誰かが階段を降りてくる音が聞こえてきた。その正体は、心也だった。


(あはは……噂をするとなんとやらってね)


 四季は苦笑い。そんな四季をよそに、蘭は心也に駆け寄った。


「心也先輩、ハロウィーンパーティやりましょう!」


 蘭がそう言った瞬間、心也はたちまち嫌そうな顔をした。わかりやすすぎる。それを見た蘭は、両手を合掌してお願いした。菜乃花も駆け寄り、蘭に倣う。すると、蘭が「四季先輩も!」と手招きしてきた。蘭と菜乃花の間に入り、手を合わせる。


「お、お願いします?」


 何故か疑問形。

 なかなか、心也は了承してくれない。すると、蘭が新たな作成を耳打ちしてきた。それは……可愛くお願いする、だった。


「えぇぇぇ!? 嫌だよ!?」

「でも、これしか方法はないんですよ!」


 いや、他にもあるだろう。

 すると、菜乃花が決心したように、口を開いた。


「うん……少し恥ずかしいけど、やるよっ」


(はぁぁぁ!? どんだけやりたいのこの人達!?)


 という訳で、無理矢理やらされる羽目になった四季。心也の前に三人並ぶ。そして、すぅっと息を吸った。


 可愛くお願い中。


 それが終わった瞬間、四季は羞恥心に襲われた。ああああと喚く。菜乃花と蘭も、ほんのり頬を赤らめていた。


「とっ、という訳で! 心也! ハロウィーンパーティをやっても――心也?」


 顔を隠すように背を向ける心也。覗き込んでも、なかなか顔を見せてくれなかった。


「心也?」

「……勝手にしろよ」


 勝手にしろよ、つまりやってもいいという言葉を聞いた瞬間、菜乃花と蘭は両手を挙げ喜んだ。どうして急に了承してくれたのか気になるが、結果オーライだ。

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