#40
「忘れてたっ……」
ひなぎく荘の中心にあるこのリビングで、四季は無様な格好をして嘆いていた。手には、五枚のプリントが。
「もしかして、またテストの点数ヤバかったんすかぁ?」
玲央が悪戯な笑みを浮かべる。四季は「お前に言われたくないわっ!」と反論するが、すぐに脱力。察してもらいたい、前回よりヤバかった事を。
目元にうっすら涙を浮かべていると、ひょいっと手からプリントが抜かれた。見上げると、要がテストをジーッと見ている。わあああああと叫んだ。要は「どうしたものか……」と呟く。そんな要に反論した。
「いやっ、今回は時間がなかったんです! 前日にいろいろあったし!」
「言い訳はダメです」
反論、もとい言い訳をすると、要は少し強めに四季の額にデコピンをした。小さく痛みが走り、両手で額を押さえる。
「お仕置き」
そう言って、要は微笑んだ。次はしっかりと勉強しよう、と決意した四季であった。
「そういえば、康太先輩、今日から修学旅行らしいっすね~」
不意に、玲央がそう溢す。
「そうなんだぁ。まぁ、康太さんも高二だしね。どこなのかな?」
「沖縄って言ってたっす」
「いいなぁ、沖縄! 私、行った事ない! お土産買ってきてくれるかな~」
「俺、サーターアンダギー食べたいっす!」
「いいね! あとは、ちんすこうとか、蕎麦とかぁ……」
「本場のゴーヤチャンプルーとか食べたいっす!」
「いいねぇ、いいねぇ」と二人で、沖縄を想像しながら盛り上がる。すると、要が口を挟んできた。
「確かにいいけど、まず勉強しようね?」
要らしくない黒笑。テストをチラつかせながら言う。背筋がゾクゾクっとした。
「……今……?」
「うん。今やらないと、どうせいつまでもやらないでしょ?」
その言葉に頷かざるを得なかった四季は、急いで自室から勉強道具を取ってきた。一方、「玲央君もやろ?」と誘われた玲央は、断る事もできず四季の隣へ。なんだか、要の頭の良さの理由がわかった様な気がした。




