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#28

 リレーが遅れると聞いた生徒達は、何でだ何でだと噂しだした。バトンとゴールテープなどの一式がなくなったという事実もすぐに広まり、蘭達は早く探さねばと足を動かしまくった。人に聞いてみたり、自分の知恵を活かしてみたり。だが、なかなか「見つかった」の一声はかからなかった。


「う~ん、ここにもなさそうですね~」

「やっぱりないかぁ~」


 たくさんの資料が山積みになっている資料室を出た二人は、ガックリと肩を落とした。探し始めて十分。そろそろ見つけたいところだ。


「帆希ちゃん、何か心当たりはありませんか?」

「心当たりぃ?」


 う~ん、と帆希は唸る。すると、「もしかして!」と声をあげた。


「夜中に猿が持ち去ったのかもしれない!」

「確かに、わりと近くに山ありますもんね……って、そんなのある訳ないじゃないですか!」


 バシーン! と蘭は、華麗にノリツッコミをキメる。


(キマった……! じゃなくて!)


「他に何かありませんか?」

「そうだなぁ……」


 再びう~ん、と唸る帆希。そして、再び「もしかして!」と声をあげた。


「猿が食べちゃったのかも!」

「確かに、猿はバナナ以外も食べるっていいますしね……って、さすがにバトンは食べないでしょう!」


 またもや華麗にノリツッコミをキメる。


(またキマった……! じゃなくてぇ……)


「……もう、いいです」


 また聞いても同じような答えが返ってくるだけだ、と思い、蘭は帆希を頼るのはやめた。ただ、帆希ちゃんは猿ネタが好きなんですね、と謎な解釈をして。


(……でも、こんなに探してるのに、どうして見つからないんでしょうか……)


 いつの間にか、蘭と帆希は体育用具室の前に来ていた。そろそろ、今行っている種目が終わる頃だろう。急いで見つけだしたいものだ。


「帆希ちゃん、ホントに昨日ここから持ち出したんですよね?」

「そ、そう言われると、不安になってきた……」

「えぇっ!?」


(今更何を!?)


 帆希がそう言うので、蘭は「まさか……」と用具室の中に入っていく。帆希が外で不安そうに待っていると、何かを持って蘭が戻ってきた。


「帆希ちゃん……これ、何ですか?」

「それは……バトンとゴールテープです!」


「やったぁ! あったぁ!」と喜ぶ帆希と、「『やったぁ』じゃありませんよ!」と一喝する蘭。蘭は続けた。


「確かに見つかったのはいいんですけど、これは帆希ちゃんのミスですよ? わかってますか?」

「わかってるわかってる! でも今は、そんな事より早く先生のとこ持っていこ!」


「早く早く!」と帆希に手を引かれるまま、先程のテントへと走った。テントに着くや否や、見つかった事を教師や先輩達に報告する。事実を全て伝えると、皆は肩を落とした。重たいため息が共鳴する。


「……取り敢えず、見つかってよかったよな。よし。この後すぐ色別対抗リレーを始めるぞ!」


 皆、ホッと胸を撫で下ろす。すると、後ろから「あれっ」という少し抜けた声がした。


「もしかして、バトンとか見つかった感じ?」

「玲央君! はい、漸く見つかりました!」

「おぉ! よかったな~。よかったよかった」


 ニカッと玲央は微笑む。そして、「じゃあ」と手を挙げた。


「俺は入場門行くな! 選手だし~」


「頑張ってください!」と玲央の背中に声をかける。その後、ハッとなった。


(敵なのに、なに応援してるんですか!)

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