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#27

「「え……!?」」


 後輩の言葉に、帆希だけでなく蘭まで驚きを隠せなかった。


「そ……それって、リレーできないって事ですか?」


 蘭は担当の教師に問う。すると、教師は悔しそうに「まぁ、そうなるよな……」と答えた。その言葉を聞いて、この場の空気は更に重くなった。

 これから行う予定の色別対抗リレーは、この地域一番の見所である。毎年、腕の立つ選手が各校選抜され、どの学校も特にリレーには磨きをかけてくる。それが試されるこの日、中止になる危機に陥っている事を、選手達、また、見物するのを楽しみにしている生徒や保護者、来場客の皆が知ったらどうなるだろうか。中止にした側は、その後の荷が重くなるだろう。


「昨日、ここに持ってきたのは誰?」


 先輩が皆に訊ねる。すると、帆希がゆっくり手を挙げた。


「私です」


(帆希ちゃん……)


「高城さんか。昨日、ちゃんと一式持ってきたんだよね?」

「はい……。持ってきたはず、です」


 そう、断言する帆希。すると、後輩が「じゃあ、何でなくなったんでしょうか……」と呟いた。更に更に、重くなる空気。そんな時――……


「あれっ、蘭じゃん! こんなとこで何してんのー?」


 沈黙を破ったのは玲央だった。蘭と帆希は驚いた顔を、先輩や後輩達はキョトンとした顔をした。


「れっ、玲央君! それはこっちの台詞です! ここで何してるんですか? ここは春風中の係用テントですよ?」

「えっ、マジ?」


 奥にいる春風中学校の教師を見て、玲央の顔は引きつる。


「み、道に迷っちったみたいで……。サーセン」


(普通、道に迷いますか? 玲央君って、バカな上に謎ですね)


 蘭は内心呆れる。教師もひとつため息をついて、


「……じゃあ、俺は中止にするって報告してく――」

「待ってください!」


 気づいたら、蘭は教師の言葉を遮っていた。視線が一気に蘭に集まる。ハッと我に返り、「あ、あの……これは……その……」と必死に誤魔化そうとした。そんな時、玲央はこっそり「今、何の話してんの?」と、帆希に聞いていた。帆希は手短に玲央に説明する。それを聞いた玲央は「あ~なるほど。そりゃ、中止はダメっしょ」と口を溢した。視線は、蘭から玲央に移る。視線を感じた玲央は「だって」と、自分の考えを述べた。


「中止って、リレーをっすよね? それはヤバイっすよ。まぁ、俺がリレーの選手だからってのもあるんすけど、皆が楽しみにしているリレーを中止にしたらブーイングヤバそうじゃないっすか? 他校の俺が言える事じゃねぇのかもしんねぇけど、探すべきだと思うっす」


(玲央君……)


「なっ? 蘭もそう思うだろ?」


 突然話を振られ、「へっ!?」と戸惑う。でも、玲央の強い眼差しは、蘭の気持ちを強くさせた。


「……私もそう思います」


 その言葉に、帆希は蘭の名を小さく口にする。蘭は、自分の思っている事を声にだした。


「探すべきだと思います! 考えは、玲央君と一緒です! 先生!」


 必死に教師に訴える。すると、教師は観念したように「……探そう」と言ってくれた。


「……! ありがとうございます! 先生!」


 やった! と小さくガッツポーズをする。玲央も、同じようにガッツポーズをした。


「よし! 帆希ちゃん、探しに行こっ」

「……うん!」


(……でも、その前に、先にリレー以外の種目を進めておいたほうがいいですよね)


「あ、その前に、リレー以外のやつ先にやらせたほうがいいと思うっすよ。多少文句言われるかもしんねぇっすけど」


 蘭が思っていた事を、先に教師に伝える玲央。教師は「わかった」と言って本部へ向かった。蘭は「蘭も同じ考えです!」と玲央に笑いかけた。

 玲央はすぅっと息を大きく吸って、


「絶対見つけるぞー!」


 やる気になってくれた先輩や後輩達も、一緒に「おー!」と拳を挙げた。

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