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#16

 やっと静かになった玲央を捕まえた四季達は、早速テスト勉強をスタートした。四季は、まず苦手な数学から潰そうと、教科書とノートを開いた。


(……にしても、授業中はいつも寝ちゃうから全然わかんないな……)


 四季はこの時、初めて授業中の自分を恨んだ。真面目に授業受けろよ! と。が、今更恨んでも遅い。四季は、要か菜乃花に教えてもらおうかと考えた。だが、集中力全開で腕を動かしている二人の邪魔はできなかった。なので、四季は全力でおバカな頭を捻った。捻って捻って捻りまくった。が――……


(わかんねーもんはわかんねーよ!)


 それと同時に、机を力強く叩く。「ひゃっ」という声が菜乃花から漏れた。皆は一斉に四季を見る。


(やっば……もしかして、声に出ちゃった?)


「四季ちゃん……、急にテーブル叩いてどうしたの?」


 心配そうに言う要の言葉に、四季は「えっ」と小さく溢す。


(この感じからして、声には出てないかな?)


「い、いや、ごめんね~。急にテーブル叩きたくなっちゃって」

「そんな事があるんすか~?」


 あはは、と苦笑いをしながら返す四季に、玲央は鋭くツッコミを入れた。四季は、頬を膨らませて「あるもんっ」と嘘をつく。ある訳がない。


(にしても、お腹すいたなぁ。……って、もう七時じゃん!)


 四季は、時計を見て目を丸くする。七時といえば、ひなぎく荘では夕飯の時間だ。そりゃあ腹もすくだろう。

 さて、今週の夕食調理係は千寿だ。四季は腹をすかせながら、ソファに横たわっている千寿に訊ねた。


「千寿さーん、ご飯できてますかー?」

「できてる訳ないじゃな~い」


 即答だった。間延びしながらも、その答えはすぐ返ってきた。四季は、驚きのあまり「はっ!?」と大声を出す。ここにいる住人達は、千寿の「できてる訳ない」が理解できなかった。


「できてる訳ないって、どういう事ですか!?」

「どういう事って、そのまんまよ。できてないの」

「当たり前みたいに言わないでくださいよ! 今週、千寿さんが夕食調理係なんですよ!?」

「わかってるわよぉ、そんな事。わかってるけど、やりたくないのぉー」

「はぁー?」


「やりたくない」で通じると思っているのだろうか。いい大人が、なんて子供っぽい事を言っているんだ、と四季は頭を抱えた。

 なんとかしてやってもらおうと考えていると、千寿が「あれね」と口を開いた。


「あれね、五月病の後遺症的な」


 前言撤回だったようだ。

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