#15
「よし! 今日から本気で頑張ろう!」
四季はそう声をかけ、腕捲りをする仕草をする。正面に座る要と菜乃花も、「うん!」と気合いを入れる。四季、蘭、玲央の三人は、いつの間にか五月病が治っていた。
三人の行動を不思議に思った玲央は、四季に訊ねた。
「四季先輩、何やってんすか?」
「何って、気合いを入れてるんだよ!」
「気合い? 何でっすか?」
四季は「何でって――……」と言いながらカレンダーのある所まで歩む。そして、とある日付をバンッと指しながら言った。
「来週、高校生活初の中間テストがあるからだよ!」
「テストっすかぁ?」
玲央から抜けた声が出る。何でテストなんかに、と言いたげな目に、四季は説明した。
「テストはテストでも、高校生活初のテストだよ? 人生で一回しかないんだよ? そのテストで成功したら、今後の高校生活、充実しそうじゃない!?」
「どうなんすかねぇ~……」
目を輝かせて語る四季に、玲央はため息をつく。でも、隣にいた蘭は食いついた。
「確かにそれ、わかります! 蘭達も、一緒にやってもいいですか!?」
「おう! いいともよ!」
「……え、ちょい待て蘭。『蘭達も』って――……」
嫌な予感を感じた玲央は、目を輝かせている蘭に問う。すると蘭は、目を輝かせたまま答えた。
「勿論、玲央君もですよ!」
「やっぱりかぁぁぁぁぁぁっ」
予想してた答えが返ってきた事に、玲央は頭を抱えうずくまる。「大丈夫ですか~?」と優しく問う蘭に、玲央は全力で断った。
「いや、平気! 俺、間に合ってるから!」
「それ、絶対嘘ですよね? 勉強しないつもりですか? いつまでもケツから五番以内でいいんですか!」
「何で知ってんだよ!」
(え、マジで玲央ケツから五番以内なんだ)
いい勝負かも、と四季は底辺的な感心をする。
「さぁ、玲央君。今日からみっちり勉強しましょうね!」
「ヤダ! ぜってーヤダ! 勉強するくらいならゲーセン行く!」
「ダメです! 絶対行かせません!」と、蘭は力ずくで出掛けようとする玲央を引き留める。四季は、それがなんだか楽しそうで、自然と吹き出してしまった。その隣で菜乃花は困ったように眉をしかめ、要は苦笑いをしていた。




