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#10

「ごめんね、菜乃花。手伝わせちゃって」


 玲央の誕生日会から約二週間後。初めての夕食調理係になった四季は、菜乃花と共に食料の調達をしていた。


「ううん、大丈夫。それに、手伝える事があったら言ってって言ったじゃんっ」

「……そうだったね!」


 あはは、と二人で笑いあう。


「そういえば、今日の夕食は何?」

「今日は……カレーでーす!」

「四季ちゃん、カレー作れるの?」

「作れるよ! こう見えて、意外と料理できるんだからっ」


(そうそう。料理では絶対心也にバカにされないもんねーっ)


「意外だね~」と菜乃花が口を溢すのとほぼ同時に、二人はひなぎく荘に着いた。四季は、ドアノブに手をかける。


「たっだいま~!」

「ちょっと! 早くお風呂掃除しなさいって言ってるでしょ!」


 四季が声を発したのと同時に、千寿の怒鳴り声が飛んできた。四季は玄関に荷物等を置いて、千寿のもとへ駆け寄る。


「千寿さん、どうしたんですか!?」

「この子が、全くアタシの言うこと聞かないのよ!」


 千寿は、目の前にいる人物を指さしながら言い放つ。指の先には、ミリアの姿が。


「今日は仕事で疲れたからすぐお風呂に入りたいのに、全く洗おうとしないのよ! この子が当番の日なのによ!」


 千寿はミリアに罵声を浴びせる。浴びせられている本人は、なにがなんだかわからないといった様子をしていた。


「千寿さん、ミルは日本語がわからないんですよ!? そんなわからない言語で怒鳴られても、嫌な思いをするだけじゃないですか!」

「アタシだって英語喋れないし、わからないわよ。そんなアタシにどうしろっていうの!?」


 確かに、それも正論だ。四季が何も言い返せないでいると、


「それに、係は前から決めてあったわ。だから、今日がこの子の当番の日だってわかるはずよ!」


(確かに、要君に通訳もしてもらったし……)


「とにかく、早くこの子に洗わせてよ!」

「え、あ、でも、私も英語……」


(……喋れないよっ)


「……要君。そうだ、要君は?」


 四季は思い出したように口を開く。四季の問いに、玲央が答えた。


「さっき、要先輩からライン入ったんすけど、今日委員会の仕事で遅れるらしいっす……」


 玲央が四季にスマートフォンを見せると、菜乃花が「そういえば、そんな事……」と呟いた。


(要君が委員会でいない? じゃあ、どうすれば……)


「……菜乃花、喋れない?」

「ごめん……」


 菜乃花ならいけそうだと思い、声をかけたがそれは残念な結果に終わった。四季は、その後もいろいろ試行錯誤したが、なかなかいい案は思い付かなかった。

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