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#09

 今日は、玲央の誕生日だ。昨日の今日であってか、準備は大忙し。四季を中心に準備を進めていく中、ちゃんと協力している人もいれば、サボる奴もいた。


「心也! サボってないで手伝ってよ!」


 四季は、ソファーに偉そうに座っている心也に怒鳴り付ける。だが、心也は反応しない。


「ちょっと、無視しないでよ!」

「……うるせぇ」


 やっと喋ったと思ったらこれだ。四季は、心也を殴りたい衝動にかられたが、ここは大人な対応で静かに説明した。


「あのね、今日は玲央の誕生日なの。わかる? だから皆で準備するの。サボっちゃダメなの」


 あの千寿でさえきちんと準備しているのに、ここで心也にサボられては困る。その思いで、四季は心也に訴えた。すると、心也は「じゃあ」と顔を上げた。


「アイツはどうなんだよ」


 心也が顎で示したその先には、康太の姿が。当の本人は飾りを片手にうたた寝を打っていた。


(あぁっ、まためんどくさい人が!!)


 四季はため息をひとつつき、小走りで康太のもとへ駆け寄った。


「康太さん!! 起きてください!!」


 康太の体を揺する。しかし、一向に目を覚まそうとしない。次第に四季の揺する強さは強くなっていく。一分後、康太は漸く目を覚ました。


「あっ、康太さん!! 起きてください!!」

「……ん、何?」

「何? じゃなくて! 手が止まってますよ!」


「ちなみに寝てました!」と付け足すと、康太は「あぁ、ごめん……」と謝罪をし、準備を再開した。


(心也もこれくらい楽だったらいいのになぁ……)


 本日二度目のため息をつく。四季は、また心也に説得しようかと考えたが、今は玲央の誕生日会のほうが優先だと思い、ほっとく事にした。




 そんなこんなでなんとか開催された玲央の誕生日会。菜乃花と蘭が取りに行ったケーキは、大きなチョコレートケーキだった。


「うわっ、何これ大きすぎない?」

「しょうがないよ。十人で分けるんだから」

「そうっすね。でも、俺の分だけ少し多めにしてくださいっす!」

「わーっ、玲央君ズルいですっ」

「まぁまぁ。均等に分けますよ~」


 ケーキの大きさに眉をしかめる千寿。それをたしなめる智宏。大はしゃぎする玲央と蘭。そんな中、穏やかにケーキを切り分ける菜乃花。皆楽しそうで、四季は自然と笑みが零れた。要やミリアや康太も、皆で笑いあっている。だが、その輪の外で心也がつまらなそうにしているのを四季は気づいていた。


(……でも、取り敢えず玲央が楽しそうでよかった。今は無理そうだけど、いつかは心也も含めて皆で楽しめるようにしたいな)

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