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こんにちわ or はじめまして! 柏原ゆらです。
今回はシェアハウスをテーマとしたお話を書いていきたいと思っています。最後までお付き合いいただけると嬉しいです!
感想、ブックマーク等よろしくお願いします!
「すまんがねぇ、今年から急遽工事が始まってしまってねぇ」
「えぇぇぇぇぇぇぇ~~!?」
一人の少女は、とある寮の前でおじちゃん管理人の言葉に絶句する。この寮は、少女がこの四月から泊まろうとしていた寮なのだった。
「……い、いつ頃に……」
終わるのですか? と聞きたかったのだが、先程のショックがまだ効いていたせいで言葉にならなかった。でも、管理人は少女の言いたい事がわかったようで、口を開いた。
「確か、一年後には終わるって聞いたなぁ」
「一年っ……!」
更にショックを受ける少女。その場に崩れ落ちた。管理人は少女を見て、心配そうに「大丈夫かい」と声をかける。少女は何も言い返せなかった。
これ以上ここにいてもしょうがない、と思った少女は「では、一年後に……」と管理人に告げ、ヨロヨロと黄咲高校の女子寮、『妃寮』を後にした。
「はぁぁぁぁぁぁぁ……」
息が切れる程長く、深いため息をつく。もう声が出なくなったところで噎せた。噎せりが途絶えたら、大きくため息再びつく。そして、トボトボとバス停まで歩き、暫くして来たバスに乗車し我が家の近くのバス停へ。降りたくない気持ちに打ち勝ちながら、下車し五分程歩いて我が家に辿り着く。
「……」
キッと我が家のドアを睨む。そして、決心したように重々しくドアを開けた。これからはいつものように、モンスターペアレントな両親とシスコンな弟に囲まれるめんどくさい日々が続くと思うと気が重くなる。また、大きなため息をついた。
――でも、この時の少女は知らなかった。現実は違った事を。
「叔父さん!?」
少女は、玄関に佇む久々に見る叔父の姿を見て声をあげる。少女の叔父は、その声に振り向き顔に笑顔を咲かせる。「久し振り」と叔父は言った。それと同時に、少女の母親がリビングから顔を見せた。でも、少女はそんな事気づかない様子で叔父に話しかけた。
「叔父さん、久し振りだね! 急にどうしたの?」
「いやね、偶然この辺を通りかかったもんだから、ついでに寄ろうかなって」
「そうなんだぁ」
少女は叔父の事が好きだった。それは勿論恋愛感情ではなく、人として、叔父として優しいから好きだった。だから、叔父と会うと無意識にテンションが上がってしまう。そのテンションについていけない叔父は、少し困った顔をした。それを見た少女の母親は、少女に声をかけた。
「ほら。叔父さん困ってるでしょ。じゃれる前に、二人ともあがりなさい」
「はぁ~い」と少女は抜けた返事をし、叔父と一緒に家にあがった。ソファにドカッと座った少女に、お茶を注ぎながら母親は問いかけた。
「そういえば、どうして帰ってきたの? 寮は?」
やはりそこは気になるのだろう。母親は興味津々に聞いてきた。ただ、その“興味津々“には「もしかして、寂しくなっちゃった?」という気持ちが込もっているだろう。勿論、少女はそんな事は思っていない。
「なんかさぁ、今年からその寮、工事する事になったんだって~」
「まぁまぁ。ウフフフ」
少女は、残念そうに事実を述べる。それに対して母親は、嬉しさが隠せないといった表情で笑む。その会話に、叔父が入ってきた。
「えっ、寮生活するのかい?」
「そのつもりだったんだけどね~。残念だよ」
少女は俯き、またひとつため息をつくと、叔父が「じゃあ」と話を切り出した。
「僕が管理している所に来るかい?」
「「え?」」
叔父の言葉に、少女と母親は同時に聞き返した。
「実は、今年の四月から、シェアハウスの管理人になってね。今日もその用事でこの近くに来たんだ」
『シェアハウス』。少女はその言葉に釘付けになった。面白そう。楽しそう。そんな言葉が、少女から溢れ出た。目を輝かせている少女と打って変わって、母親は折角また一緒にいられると思った娘がいなくなってしまうという危機を感じ、「いや、でも」と反論した。
「空いてる部屋はあるの?」
「それならご心配ありません。ちょうど一部屋だけ空きがあるんです」
「でも、この子にシェアハウスはまだ早いんじゃないかしら」
「そんな事はないと思いますよ。寮生活をさせようとしてたぐらいですし、自立の為にも必要だと」
母親の反論に、叔父は次々と言い返す。どれも、筋が通っていて、母親は上手く言い返せなかった。その後もいくつか反論をし、全て覆された母親は感服した様子で頭を垂れた。つまり、少女のシェアハウス生活は認められたという事だ。
「……では、そういう事で」
「ぃやったぁ!!」
少女は飛び跳ね喜んだ。それと同時に、ピンポーンとチャイムが鳴る音が聞こえた。未だにショックで動けない母親の様子を見て、叔父が出た。
暫くして叔父が玄関から戻ってきた。先程受け取った物は、おそらく叔父が抱えている段ボールだろう。
「ちょうど、荷物も来たしね」
この段ボールは数日前に少女が妃寮宛に送った荷物だった。工事が始まった妃寮から送り返されたという事だ。
「叔父さん、ちょっと待ってて! 今すぐ足りない物用意してくるから~!」
少女は叔父にそう告げ、自分の部屋がある二階へと駆け上がる。その数分後に少女は支度を終えた。少々立ち直った母親に別れを告げ、叔父と共に我が家を出た。我が家の近くに停めてあった叔父の車に乗り、叔父は少女に話しかけた。
「よかったね、認められて」
「うんっ。叔父さん、ありがとうね」
少女がお礼を言うと、叔父は「どういたしまして」と微笑んだ。やはり、叔父の事は大好きだ。
その後、叔父と少女は様々な会話をした。シェアハウスを作った理由、シェアハウスに住み始める住民について等。そんな話を聞いて、少女はますます楽しみになった。これは、寮生活より楽しそうかも、なんて。寮生活を全く知らないのに、そう思える程だった。
そんな少女の、シェアハウスで暮らす一年間のお話が今、幕を開ける。




