表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/7

第5話・見守る大人の苛立ちと ~震える吐息が願うのは~

第1章 移り変わるは季節か人か



      第5話・見守る大人の苛立ちと ~震える吐息が願うのは~



 魂が抜けた。と言えばよいのだろうか。



 神官呪師学校の校長、ヴィロバ=エルマーニから学習スケジュールの緩和の決定を言い渡され、反論も許されずに退室させられたアインの手を引いて廊下を歩きながら。



 呪師寮でアインの世話をしている同室の兄弟子であるペルフィー=プリメーシャスは何とも言えない気持ちで、ぼんやりと足を動かしているアインをちらりと見下ろす。



 そう、()()()()ほどに、小さいのだ。アインは。



 正直、抱き上げて運んだ方が早いのだが、今は少しでもアイン自身が動かなければ……壊れてしまいそうな危うさがあった。



 異常なまでのハードスケジュールを強要されていたアインの、その教育速度に疑問を持っていたペルフィーだったが、まさかその速度が呪師学校に入学した後、()調()()習得して進学した場合にかかる二年分を、ほんの二十日ほどで終わらせていたとは知らなかった。



 更に言えば、二年で進学できる子供は、全体の一割にも満たない。と言う事実。



 仮に、十三歳の誕生日を迎えて入学した子供が、順調に学習を進めて、各種の確認試験を一回で合格し続けたとして、それで達成できる最短期間が二年であり、実際には更に数年。



 場合によっては十年近くかかる者もいるのが現実であるというのに……



(二十日で終了って、どれだけ詰め込んだんだよ!?)



 アインの才能はもちろん異常だと思う。



 けれど、それを強いた上層部の考えが理解できない。



(そうやって詰め込んだから、なおさらアインが不安になったんじゃないのか?)



 求められるままに、望まれるままに学び続けて……それで漸く居場所を与えられていると()()()()()としか思えない現状に憤る。



 その上、基礎学習……神官呪師なら各種専攻分野に分かれる前。皇宮呪師なら、より高度な知識を学ぶことを許される前。()()が『実践訓練』に参加許可される直前までの学習範囲……が終わったからと、いきなりの方針転換。



 これで不安がるなと言っても無理だ。



 ぼんやりとして、足元がおぼつかないアインが転ばないように気を付けつつ、ゆっくりと廊下を歩くペルフィーから微かに剣呑な気配が上がる。



 びくりと、大きく震えたアインが足を止め、伺うように見上げてきた。



「ああ。悪い……大丈夫。お前に怒ってるわけじゃない」



 わななく唇が開かれる前に、感情を押さえ込んだペルフィーが困ったように微笑めば、アインはこわばった表情のまま、曖昧に頷く。



「……どうする? このまま部屋に戻るか? それとも、気分転換にどこかに寄って行くか?」



 腰を落として、廊下に膝を着き、アインと目線を合わせたペルフィーの問いかけに、少しだけ瞳を揺らしたアインは……



「……ぁ、の……」



 震えた、吐息のようなこえを絞り出し、希望を伝えた。


第1章第5話をお読みいただきありがとうございます。


校長からの宣告を受けた直後のアインと、その手を引くペルフィーのお話です。


アインの限界を超えた疲労と、その背後に渦巻く「大人の事情」にうっすらと気づいてしまったペルフィー。


面倒見の良い兄弟子が、己の許容量を遥かに超える事態に直面し、思わず頭を抱えてキャパオーバーで胃を抱える事態に……。


周囲の大人たちの苛立ちが募る中、アインを取り巻く環境はどう動いていくのか?


次回もお楽しみに!


【第1部はこちら】


姉姫様は魔族を斬りたい!~最愛の弟皇子を救うため、女神の巫女は呪いをかけた魔族を探します~【第1部・レッド・フレイムの呪い】

(https://ncode.syosetu.com/n1170lj/)


【第2部はこちら】


姉姫様は魔族を斬りたい!~最愛の弟皇子を救うため、女神の巫女は呪いをかけた魔族を探します~【第2部・レッド・フレイムの残照】

(https://ncode.syosetu.com/n5488lq/)


【番外編・第1弾はこちら】


皇宮呪師は護りたい!聖皇国列伝秘聞①~悪夢の海で瞑る翳・代償と贖罪の狭間で望まれる~

(https://ncode.syosetu.com/n5697ln/)


【番外編・第2弾はこちら】


皇宮呪師は護りたい!聖皇国列伝秘聞②~滞留するのは魔力ちからの残滓~

(https://ncode.syosetu.com/n6684lr/)


【番外編・第3弾はこちら】


皇宮呪師は護りたい!聖皇国列伝秘聞③~重なり合うのは悪意おもいの欠片~

(https://ncode.syosetu.com/n5078lu/)


【番外編・第4弾はこちら】


皇宮呪師は護りたい!聖皇国列伝秘聞④~幻影人形ビジョン・ドールで選ぶ道~

(https://ncode.syosetu.com/n1705lx/)


【今後の連載スケジュールについて】


続きは本日22時から、毎日昼と夜、1日2話ずつ更新いたしますので、どうぞお見逃しなく!


【ミニコラム掲載中!】


活動報告にて、キャラクター紹介や用語の解説などを不定期で掲載しております。ぜひチェックしてみてください!


【読者の皆様へのお願い】


「面白い」「続きが気になる!」と感じていただけたら、ぜひ【☆☆☆☆☆】やブックマーク、感想をいただけますと、連載を続ける何よりのエネルギーとなります。


また次回もどうぞよろしくお願いいたします!


【第5弾は完結まで執筆済みです。よければ最後までお付き合いください。】


【本作は「カクヨム」にも投稿しております。】


――――――

ノリト&ミコト

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ