冒頭の最低限、3つの原則
伝えたいことがいっぱいあると筆が乗る
2階から春が落ちてきた。
そんな冒頭の作品があります。伊坂幸太郎の『重力ピエロ』という作品です。
「2階から春が落ちてきた」
これを聞いて、あなたはどんな場面を連想しますか?
というか、あなた方の脳は、連想するように誘導されています。頭が物語の先を求め、勝手に作品の輪郭を描く。それがいい書出しが持つ力です。
作品で最も読まれるのは冒頭の1行だという話はしましたね。文章を1行経る度に読者はエネルギーを消費し、作品から離脱していくことも。
総じて、小説家のみならす、創作者全体に言えることは、冒頭を最も大切にしろ、というです。
断言します。作品は、冒頭が、命だ。
1話目が良くない作品は、2話目を見られない。アニメで1話切りした経験がある人なら分かりますよね。冒頭、ひいては1話目がつまらない作品は、見る気が起きないし、流行らない。
世間一般で面白いと言われ流行った作品は、冒頭が面白いんです。
創作において、冒頭が、最も大切。
その原則を脳に刻み込んだところで、次に覚えてもらいたいことはーー。
小説は、アニメや漫画なんかより、ずっと救いがない、ということです。
文字と絵。どちらの方が見る気が起きますか?
適当に見れるのはどっち? 分かりやすいのはどっち?
答えは絵です。
小説は、文字を解釈し、読者の頭に想像させる過程があるのに対して。
漫画やアニメは、絵という解釈を押付け、読者の頭に、イメージを直接ぶち込めると言う利点があります。
どちらが明確に優れているということは無いし、小説ならではの愛おしさも当然あるのだが、今は関係ないので省きますけど。
惰性で読むなら、断然、小説より漫画やアニメ。
その事実は否定できません。つまり、文字を生業にする私たちは、その分、『彼ら』よりチャンスが限られる。私たちは、限られたそのチャンスを、絶対にものにしなければいけない。
小説を書くものたちは、全身全霊で冒頭を描かなければいけないんです。創作における冒頭の重要性はおわかりいただけたでしょうか。特に、小説という媒体を用いる場合は、文字通り、冒頭に命を懸けなければいけないんです。
私たちは惰性で読めるか、という1点で、絵に、明確に劣っています。
腑抜けた冒頭なんか書いたら、直ぐに読むのを止められてしまう。
冒頭に、私たちは、命を懸けなければならない。
さて、面白い冒頭とはなんでしょうか。
それは、『分かりやすいこと』、これに尽きます。
もっと詳細に説明すると、
・主人公が誰か分かる。
・SQ→物語の目的が、はっきりしている。
・世界観が理解できる(説明する必要がある部分)
を明確にすることが、出来たら合格です。
例えば、桃太郎なんか使ってみましょうか。
・主人公→桃太郎
・SQ→鬼を退治する
・世界観→今まで平和に暮らしていた桃太郎の暮らしが、鬼によって、台無しにされる(必要部分)
この3つが分かっているだけで、なんとなく作品の全体像が見えてきませんか?
冒頭は、分かりやすく。
主人公、
SQ
世界観。
この3つを明確にする必要があります。
あくまで『最低限』。これだけだと面白くなるとは限りません。
次は、冒頭を面白くするコツを紹介します。
次回、面白い冒頭。
どうせ今日中にはまた出します