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天才の私が小説を伝授します。  作者: 最条真
中級編(高校生時執筆)

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読者のために愛を捨てろ

少し厳しいことを言い始めます。

 創作活動全般に言えることですが、全ては量より質です。

 ゴミなんて誰でもいくらでも量産できるんですから、貴方にしか作れない最高の作品を作り上げましょう。

 作品と言っても――本講座で取り上げるのは(主に)小説で――やはり小説の話になってしまいますが、『最高の小説』って何でしょう。


 最高の定義は複数ありますが、本講座でいう『最高』とは、

  【物事が最も望ましい状態にあること。この上なくすばらしいこと。また、そのさま。】

 この定義で進行させていただきます。


 この最高と、小説を組み合わせると――最高の小説の定義とは、

【この上なくすばらしい小説】ということになりますね。


 この上なくすばらしい小説って、そんなもの、存在するんでしょうか。

 そもそも、人には好き嫌いがありますよね。恋愛ものは好きだけど、ミステリーは嫌い。あの作家は説明だらけの文章で合わない。この作家は展開が明快かつ劇的で、見ていて楽しい気持ちになる。


 人によって好みは千差万別。

 ジャンル・文体・展開・キャラクター……その他もろもろ。

 それらの何に注目するのか、何を大切にしているのか。そんなの、みんな違ってみんないいんです。

 人によって最高の小説なんてそれぞれあっていいんです。


 しかし、誰かの最高の小説になるための努力は、作家である以上欠かしてはいけません。

 自分が作った作品が、自分以外の誰かに愛されたら素敵ですよね。今回は、『誰かに愛されるための工夫』について話していきたいと思います。


 小説を構成する三つの文章についての話は前の講座でしましたね。

『説明』・『描写』・『会話』の三種類。それらが組み合わさって、読者の『五感』を再現し、解釈する余地イメージを届けると。『自身の解釈で物語を楽しむことができる』という強みを活かすために、三つの要素を過不足なく取り入れようという話でした。


 つまり、文章を盛り込む理由は、読者の心に喜ばしい体験を与えるためなんですね。

 ですから、文章に対する『作り手の愛情』は、極論、必要がありません。


 文章をうまく書けた経験はありますでしょうか。

 簡潔かつ洗練された説明、ありありと姿が浮かび上がる描写、騒がしく楽しい会話。


 愛おしくてたまらない、我が子のような文章が書けた経験はありますか?


 そしてそれを、『作品のために』消したことはありますか。

 繰り返しになりますが、文章を盛り込む理由は、読者の心に喜ばしい体験を与えるため。

 残念ですが、『あなた』の心の喜ばしい経験は、読者にとってなんら価値がありません。書き手のやるせなさや切なさを読者が伝わらないように、愛情も伝わりません。


 時に、あなたの愛情が作品を質を下げているケースがあります。


 説明する必要がないが、とにかく説明したい!

 話に絡んでくるわけではないが、主人公の妹を描写したい!

 主人公とモブの、どうでもいい会話を書きたい!


 それ、やめてください。

 あなたにとって必要なことでも、読者にとって必要なことじゃなかったら、わざわざ文字を割く価値なんてありません。


 読者は貴重な時間を文章に割いてくれているわけですから、無駄な部分を見せるなんて失礼です。


 とにかく、無駄な文字は盛り込まないでください。

 言葉の無駄――『擬色』には三つの種類があります。


 ・描写過多

 ・凝りすぎた文章

 ・言葉への耽溺たんでき


 つまり、私が言いたいのは――、


 ・描写しすぎるな、文章に凝りすぎるな、文字に夢中になるな、それ以外のことも顧みろ!


 ということです。


 エコで行きましょう。最小限の文字で、最大限のイメージを掻き立てましょう。雑然とした、弱い文字は消してください。たぶん素人が書いたものなら、基本的に二十パーセントは削れます。


 読者のために削ってください。読者のことを第一に考えてください。無駄を省いてください。


『読者の目に触れる部分』では、あなたの欲求を発散させないでください。『自分しか見ない設定集』にでも、その欲求はぶちまけておけばいいんです。


 読者のために愛を捨ててください。


 次は、『作家に必要な資質』について話していきます。

 実践的な構成方法とか表現法とか物語を面白くするコツとかは、ちょっと早いです。結局、基盤が大切なので。


 極力、無駄を省きながら伝授していきますので、一緒に頑張っていきましょう。








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