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「改めて聞くね」2

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「こう、ベットに腰掛けて、床に置いてあるタオルを足の指で手繰り寄せるの」


 ラィちゃんとミミちゃんが傍で見守る中、リコの足は、器用にグニグニとタオルを手間に寄せていく。


「どう? できそう?」

「うん! がんばる!」


 アマルがフンスと両手を握った。

 リコはアマルの頭をぐりぐりと撫でる。

 リコがなにもいわなくても、レトがタオルを直して、アマルの足を上に置いてあげてあげたので、リコはレトの頭もぐりぐり撫でた。


 サラとイナバは、選んだ服を畳んだり、開いたりしながら、自分のスペースをせっせと片付けている。

 サラとイナバに、色々教えてあげてね? と女の子組にお願いして、客間を処置室がわりにするために片付ける。

 夜寝る時以外は、子供部屋の扉は開けっぱなしにすることにして、パハン先輩には居間にいてもらう。


 大人組の部屋以外は、自由になんでも見て回っても使っていいし、後から足りなくなった分をきちんと報告してくれれば何を消費してもいい。

 自分のスペースにあるものに対しては全部あなた達個人のものだから、自由に使っていい。

 足りなくなったら言ってくれれば補充するし、他に必要なものがあれば可能な限り対応する。


 と告げ、新たにブル革と、木材とダンジョンの壁石材を組み合わせて作った[小型軽量お手伝いゴーレム]を3体紹介すると、「んじゃ、呼ばれたら順番に部屋に来て?」リコは、そう言って客間に入り扉を閉めた。



 天蓋付きのベットは、すみの一台を残して、代わりに処置台を出し、椅子と机を残して他の家具は全て【収納】する。


「ヤツノはどんな魔眼があるんだろうね?」


 出窓のカーテンを閉めながら、ドア横に立っているリュコスに声をかけると、リュコスは「14才はこちらの世界では成人と変わりません。あまり触らないよう気をつけてください」と、答えた。

 リコは鼻の頭にシワを寄せて「質問の内容と答えが違う」と抗議したが、リュコスはスンとした顔で扉を開けた。


 ノックをしようとかざした手を彷徨わせて、ヤツノを連れたパハンが驚いた顔をしていたが、リュコスをチラリと見ると、「その、ヤツノを連れてきた」と言って、リコが座る椅子の前の処置台の上に座らせ自分はその後ろに立った。

 ヤツノの口角は上がっている。


「え、っと、じゃ、こんにちはヤツノ。手に触っていい?」

「はい」


 ヤツノは右手を差し出した。


「私の顔に手を当てていい?」

「「えっ!?」」


 パハンとヤツノがハモって声を上げる。


「あぁ、えっと、私が喋ってるのわかるからその方が安心するかと思って」

「ではお願いします」


 リコは椅子を寄せると、ヤツノの手を誘導して、親指が唇の端に当たるように触らせると、自分の手を離す。

 パハンは驚いた顔をしたまま、オロオロとリュコスを見ると、案の定リュコスは眉間にシワを寄せていた。


「うん。嫌じゃない? 大丈夫?」

「はい。嫌じゃありません。お気遣いありがとうございます」


 そう言ってヤツノはニコリと微笑んだ。


「じゃぁ、ちょっとこの布お面とっても良いかな?」


 リコが聞くと、ヤツノはうつむき「あまり、他の人に見られたくありません。その」と、パハンとリュコスを気にするそぶりを見せた。


「そっか。うん。んじゃ、リュコス、パハン先輩、居間で待っててくれる?」


 後で詳細を報告するのは許してね? とリコがヤツノに言うと、ヤツノは「もちろんです」と答える。

 リュコスは微動だにせず、パハンが、リュコスの立ち位置に移動する。


「?」


 その行動にリコは疑問を持ったが、ヤツノがすかさず「・・・その、僕、目は見えないのですが、熱を感知する能力があるので、その」と、言うので「へぇ! リュコスもパハン先輩も部屋から出て。大丈夫だってば。子供に酷いことなんてしないってば」とリコが言うと、パハンは「いや、その」オロオロしながらリュコスを見る。

 リュコスはスンとしてその場を動かない。


「大丈夫ですよ。僕も、リコ様に酷いことなんかしません」


 ヤツノは言った。


「んもうっ!」


 リコは、「ちょっと待ってね」とヤツノの手を膝に戻し、席を立って、リュコスとパハンをグイグイと部屋の外に出す。

 パタタっとイビルちゃんは、リュコスの頭に移動した。


「さ、これで良い?」


 扉を閉めてリコが椅子に戻ると、ヤツノは「お気遣いありがとうございます」と、右手を差し出した。


 リコはその手を口に当て「じゃ、ちょっとみるね」とお面に手を伸ばす。

 お面を外すと、両瞼を紐で乱雑に縫い付けられた顔が出てきた。


 マナを揺らさぬようリコが気合を入れる。


「面はギルド長が用意してくれたもので、痛み止めの付与がしてあります」

「あ、そうなの? あ、どうしよう、装備してると痛くないの?」


 リコがあたふたと布を戻そうとする。


「いいえ、引き攣る程度で、さほど痛みは感じません。自分で目を開けようとしない限りは」


 ヤツノは言った。


 マナが揺れる。


 リコはやっぱりボロロと溢れる涙を堪えきれなかった。


「誰が、こんな、事、したの?」

「処置をしたのは医師です。眼球はくりぬかれ両眼ともありません」

「そっか。これ、外して良い?」

「・・・はい。お願いします」


 リコは縫い目を手でなぞり糸を【収納】すると〈治療〉をかける。

 顔の穴がキレイに塞がっていく。


「凄い! 痛みがなくなりました」


 ヤツノは笑ってそう言った。


「痛かったんじゃん! ・・・ゴメン。もう大丈夫?」

「・・・はい。もうどこも痛くありません」


 ヤツノは、リコの涙を親指で拭って答えた。


 イナバとは違う。これは拷問だ。リコはギリっと奥歯を噛んだ。


「ヨシ。んじゃ改めて聞くね。ヤツノは目を治したい?」

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