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「コレはマカロニ」2

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 急に仕様変更され、プンスカ怒るイビルちゃんに、ポカポカ蹴られながら、魔法陣を使い終わって箱を閉じたミミックと、何事かと駆けつけてくれたミミック達に言い訳してハグをしながら平謝りすると、元の場所に戻ってもらう。


 驚く子供達を宥め、家に戻りしな、「さぁ、5人増える準備をしよう! ナカツ達の知ってる子?」リコは新たに来る5人の子供達のことを聞いてみる。


「ピオニとテトは、前に一緒に遊んだコトある。でも、回収屋見習いじゃないから、最近は一緒にいなかった」


 ナカツは、ギルド内の子が奴隷だったことを知ってショックを受けているようだ。

 レトは知っていたようで、「サラはいつも具合悪そうで、テトと、ヤツノ、イナバは、顔を隠しているしあまりみんなと話さないの。特にイナバは、誰かと喋ってるのみたことがない」と、同情的だ。


「あんまり知らない子達かぁ。仲良くできる?」


 リコが聞くと、アマルが必死で付け加える。


「でもみんな良い子よ。本当よ」


 リコは「大丈夫よ」とアマルを撫でる。


「まずみんなの部屋を広げてベット置こうか。男女で分けて良いのかな? 街ではどう過ごしてるの?」

「男女に分かれて雑魚寝だよ。ベットも無いよ」

「なんで!?」

「回収屋ギルドにいる子供は孤児だもん。みんな家がない。ギルド館の部屋を使わせてもらってる」

「アマルはパハン先輩と一緒だよな?」

「うん。大きくはないけどお母さんが残してくれた家がある」

「あれ? んじゃ、アマルはパハン先輩と一緒が良いかな?」

「ううん。ここにいる間はみんなと一緒がいい。ライちゃんとミミちゃんもいるし」


 ライダーゴーレムとミミックをスリスリと撫でさする。

 ありゃ、名前をつけちゃったか。ま、いっか。


「そっか、そっか。じゃぁみんなが快適に一緒にいられるように、こんなのはどう?」


 リコは【錬金錬成】で家の天井を高くするべく、【収納】から要塞石材や木材、【買付】た建材を取り出すと、その場で組み替え、部屋も広げて階段箪笥で登るロフトを作り、二階建ての個室空間を作る。

 それぞれに、ベットと机、クローゼットと本棚も設る。


「わぁ!」


 厚手のカーテンで、今まで以上にプライベートが保たれるし、子供なら一緒に寝れるサイズのベットも置ける。


「パハン先輩は大人だからもう部屋を分けてあげよう。あ、大人、もしかして増えるかな。女性かもしれないし2部屋作っとくか」


 リコが腕を振り上げ魔力を込めると、グググと家の中が変形していく。


「スゴイ! スゴイ!」

「リコ! スゴイ!」

「ンフフ! もっと褒めて褒めて!」


 リコがさらに調子に乗って、腕を振ると、ピンクの花柄の壁紙がオーロラのように舞い上がって彩り、淡い色のついた化粧板がパタパタと音を奏でるように踊りながら壁に張り付いていく。


 リュコスが眉間を押さえて目を伏せる。


「本当は【魔術操作】があるならみんなだってこのぐらいの事できるんだよ!」


 そう言って部屋の一角に棚を組み立て、さまざまな写真の載った写真集や絵本を、バサバサバサと飛ばし並べる。


「たくさん空想して! たくさん練習しよう! 子供はね、何にだってなれるし、どこにだって行ける! って本で読んだ!」


 オベントの使っていたような細い指揮棒を、金糸と黒曜石から作り出して手に持つと、


「アッブラ! カダブラッ!」


 光の粒を出しながら振り上げ、シンデレラの魔法使いのように、子供達の服を、華やかなドレスと、王子様が着るようなフォーマルスーツに変える。


「アハハ! すごく可愛い! ステキ!」


 リコが、踵でクルクルと回りながら、リュコスの服も、まるでおとぎ話に出てくる騎士服のように着せ変える。


 天井に星が散りばめられ、見たこともない楽器が飛び出して、聞いたことのない音楽を奏で、花々が壁紙から抜け出し咲き乱れ、飛び出す絵本からは、バラバラとページをめくりながら、トランプの兵隊や紙のドラゴンが躍り出てくる。


 子供達の体がふわりと浮くと、散らばった服や、家具や、調度品が舞いあがり、光の粒がリコの動きに合わせて、眩く光り輝き出した。


「リコ様!」

「! ・・・おっと!」


 イビルちゃんに、再びポカポカと蹴られ、ストン! と床に足をつけ唖然とする子供達と、眉間にシワを寄せ厳しい顔をしたリュコスに気づく。


「えっと、ごめん。テンションが、おかしくなってしまいました」


 その場に止まっていた雑貨達が、バタバタと音を立てて然るべき場所に戻っていく。

 リコはしゅんとして、指揮棒をクルリとふり、みんなの服を元に戻す。

 レトとアマルが、ちょっと残念そうな顔になった。


 と、


「リコ! こうゆうのは、よく無いと思う! リコはもっと、気をつけなきゃいけない!」


 ナカツがワナワナと身体を震えさせながら叫んだ。


「俺と、前に俺と一緒にいた時、あまり魔法を使わなかったのは、俺に、俺に凄い魔法使いだってバレたら、俺が、俺が誰かに告げ口するかも知れないからだって、凄く、すごく悲しかった!」


 ナカツは、着ている服をギュウと両手で握って、ボタボタと溢れ出る涙をこぼしながら


「でも、でもでも、本当は、リコが凄い魔法使いだって誰かに知られたら、また貴族に捕まっちゃって、閉じ込められて、今度こそ逃げられないようにされちゃって、自由じゃなくなっちゃうからだってわかったから、仕方ないって、俺、子供だから、いっぱい間違っちゃうから、俺のためだってパハン先輩が言うから、俺、俺、リコの魔法の事は誰にも言わなかったのに!」

 

 自分でも、何を言いたいかわからなくなっているナカツは、それでも思うがままに口を開く。


 リュコスは、ナカツをグイっと持ち上げると、号泣するナカツをリコに向け珍しく強い口調で言った。


「ナカツは正しい。これから人が増えるのです。リコ様はもう一度、自分の行動に気をつけるべきだ」


 イビルちゃんが、リコの頭をポコン! と蹴った。


「は、反省します。ごめんなさい」


 リコは、ペコリと頭を下げた。


「リコ、俺、リコがいなくなったら嫌だ。また、誰かに閉じ込められて、会えなくなったら嫌だよう」


 ナカツがオイオイと泣き出した。


「リコ様」


 リュコスが、これでもくらえ! とばかりに、だらりと伸びる猫のようなナカツを差し出す。


「うん。ごめん」


 リコはナカツを受け取って、ギュウと抱き締める。


 魔法を使い始めると、瞬く間にその万能感に囚われる。

 他者と違うという事が、どんな危険を孕んでいるか、思い知る事になったのは、そんなに遠い昔じゃなかったはずだ。


「ごめん。調子に乗った。これからは、もっと、気を、つけ、ます」


 しょんぼりと、首を垂れたリコに、レトがたまらず、ブフッと吹き出す。

 アマルもつられて「ウフフ、あはははっ」と声を出して笑った。


「そんな、ナカツに、獣人の、子供に、怒られてっ、そんなにしょんぼりする、大人の人間なんて、見た事がないわっ」


 レトもアハハっと声を出して笑った。


「魔力酔いって言うのよ。ウフっ初めて魔法を使った子供が、興奮してかかる病気なのよ」


 と、アマルが教えてくれた。


「そうだ。リコ、子供みたい」


 ぐずぐずと鼻をすすりながらナカツが言った。

 ウグゥとうなって、リコが鼻の頭にシワを寄せる。


 心を整えるために、お料理します。と、リコは、これから来る子供達のためにクリームシチューとプリンを作ることにした。

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