表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/34

第9話 ベル先輩との試合をする

エリーブラウン11才のお話。

 士官幼年学科剣技大会2日目午前中 


 今日は大会2日目、午前に準々決勝、準決勝、午後に決勝が行われる。


 エリーは剣技場入口に、貼り出さているトーナメント表を見ていた。

(先ずは、ベル バリントン様3年生、そして、ジェーン教官の予想だと、準決勝はロイ様、決勝はアンジェラ様との対戦なるはずだと言っていた、昨日のアンジェラ様の態度、気になるなぁ?)


 今日は、昨日迄と様子が変わった事があった。それは、通り過ぎる学生や、すれ違う学生から挨拶されることだ。


 エリーは挨拶される度、挨拶を返してちょっと疲れていた。

(やはり、昨日ルシア会長戦で、知名度が上がったせいかしら?)

などと考えていると

 エリーは突然後ろに気配を感じる。

すると、背後から手が伸びて来て肩を捕まれ、髪を掻き回される。


「今日も、良い匂いがしているな」

エリーが首を回して、後を見ると、ジェーン教官が嬉しいそうな顔をして、エリーの髪を鼻に当てている。

(私は、どんな扱いなのか?、うんんーーペット枠なの、ジェーン教官て最初、前世の私みたいな武人の雰囲気だった気がするのだけど)


「エリー体調は、どうだ、万全か?」

 ジェーンが、エリーの瞳を見ながら聞いてくる。エリーは、ジェーンの手を振り解き、振返て、嫌そうな顔をした。

「せっかく、お母様がブラッシングしてセットしてくれたのに台無しです」


「あゝ、それはすまなかった、いや、何でかわかんがやってしまうのだ」

「お前が、可愛い過ぎるからいかんのだ」    ジェーンはちょっと目を泳がせて、照れた様な顔をした。


「えーー、ちょっと前に確かですね、教官は私に言いましたよね、ちょっと頭の良いだけのひよっこが、叩きのめしてやるて」


「お前、そんな事言ったか?記憶違いだな」ジェーンは赤髪のショートボブをかき揚げ、とぼけた顔をする。


エリーはジェーン教官を眺めながら。

(この人、いつからこんな感じになった、普通にしていると凄い美人なんだけど、なんか、かわちゃった)


「ジェーン教官、恋人とかいないんですか?凄く綺麗だしモテそうですよね」

エリーが朱色の瞳をキラッとさせ微笑んで言った。

「見合いとか話はあるが、ずっと断っている」

「私は、剣技を極めたいのだ!」

 ジェーンはすーと背筋伸ばし澄まして言った。


 エリーはジェーンの紫色の瞳をじーーっと見つめ。「そうなんですね、うぶなのですね、恥ずかしがり屋さんなのですね」

ジョージアを揶揄う様に戯けていた。


「エリー、お前は教官に対して何と言う事を!」


「戯言は、もう良い」

 ジェーンが真剣な表情になって右手を挙げる。


 エリーは頷き、微笑んで「はい、わかっています」


 二人は剣技場内に入り、剣士待機場所に到着した。

運営担当の学生が、エリーに防具を手渡す。「エリー嬢、防具を、準備願います」


 エリーは手慣れた手つきで、防具を装着していく、装着具合を確認して、最後に木剣をケースから取り出して準備完了した。


「ジェーン教官、準備完了しました、それでは、勝って参ります」


「うむ、心配はしていない、勝ってこい」

ジェーンは少し微笑んで言った。


 エリーは、それに応えた様に微笑んで、試合ブロックへと向かう。


 エリーの準々決勝ブロックは第3ブロックだ。審判に礼をしてブロック内に入る。

審判がエリーの開始ライン位置を指示する。


 エリーが正面を見ると対戦相手と視線が合う、エリーは礼をする、相手も反応して軽く礼をした。


 審判が「試合は、もういつ始めても良いが、準備等ないか」


 エリーは「はい、問題ないです」

対戦相手も「問題ありません」

審判は軽く頷いて「では、名乗りを」手を出してしてエリーを指す。


 エリーが礼をして「エリーブラウン 特待学生、精一杯頑張りますのでよろしくおねがいします」そして礼をする。


 対戦相手も「ベル バリントン3年、対戦出来て光栄に思う、お互い良い勝負を願う」お互い見合って再度礼をする。


 審判が「準備、良いか!」

両者頷くと、審判は旗を振り下ろして声を上げる。

「試合始め!」


 エリーは、前回も使用した相手の身体を見つめてエナジーの波動を視覚化する。これは、前世の執行の女神セリーナの付与スキルだ。筋肉、骨格、関節、始点終点、間合い、振り出し速度の見極めが出来る。


 ベルはすぐさま間合いを詰めて、右上段斬りを入れて来た。エリーは直前で見切り、ヒラリと交わす。

(今日は、身体強化を使ってみようかしら)


 ベルの連続の斬り突きを、ヒラリヒラリと交わしながら、エリーは考えていた。


 エリーの試合ブロック周辺ではドヨメキが起こっていた。

会場の学生達の声。

《何で、あんな突きを交わせるんだ》

《なんて、身体能力だ》

《剣先を見極めているのか》

《凄い、まるでダンスしてる見たい》


 エリーは魔力を身体全体に軽く乗せ、ベルの動きを見て、右側に上体を捻り、左上段斜めから斬り込んだ。次の瞬間ベルは木剣で防ごうとしたが、空振りし、エリーの木剣がベルの脇に入る。

〈バーーン〉と乾いた音が響く。


〈ぐーーあーーっ!〉とベルが呻き声を上げ、木剣を落とし、膝から崩れ落ちて、両手を床に着いた。


 審判はその状況を確認して、旗を上げる「勝者、エリー ブラウン!」試合ブロック周囲学生が大歓声を上げる。


(勝って良かったです、ベル様大丈夫か

な?、今回は前回より、だいぶ抑えてたんですけど)


 エリーは礼をして、うずくまっているベルに近づき跪く。

 ベルの肩に手をそっと当て「大丈夫でしょうか」ベルの顔を覗き込み、心配そうな顔をする。ベルは、正座した様な格好になり、上体を両手で支えながら起き上がった。


「エリーさん、いや、大丈夫です、私とは、格が違うのが良くわかりました。どうかお許しを頂ければよろしいかと」


 エリーはベルの瞳を見つめ、少し微笑んだ。「ベル様、何を、仰っているのか、よくわかりませんが、今後共よろしくお願い致します」そして、顔を傾けて更に微笑んだ。


「ベル様、立てますか?」

「肩をお貸しします」

 エリーはベルの右脇に肩を入れようとする。ベルは顔を赤らめて、恥ずかしそうに「エリーさん、チョット無理だよ、俺との体格差あるから・・・・・・」


 ベルはよろめきながら、何とか立ち上がって「エリーさん、凄いよ、こんなに強いのに、優しいし、とても可愛い」

(え〜と、ベル様なんか変なこと言ってますね)


 エリーは、ベルの腰に手を回して支える。(エリーさんて可愛いなぁ、こんなに強いのに、見下す素振りも、傲慢さも無い、本当にいい子だ、こんな子が彼女ならな)


 エリーはベルを支えて、ゆっくりと試合ブロックから退場した。


 そして、試合ブロックの周りでは、学生達が拍手と歓声がそれを送る。



最後まで読んでいただきまして、ありがとうございます!

もし良ければブックマークや評価を頂けると嬉しいです! 更新の励みになります。

これからも、どうぞよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ