第5話 ロイとの出会い
エリーブラウン11才のお話。
今日は、エリーが幼年学科編入後、1週間経った、剣技大会当日である。
エリーは白色の剣技修練着に着替え、剣技場手前の広場に立っていた。
そこに、ジェーン教官が近づいてくる。
「エリー、修練着、様になっているぞ、美少女剣士だなぁ」
エリーは若干呆れて顔をする。
「ありがとうございます、早々にこの様な伝統ある剣技大会に参加させて頂き、感謝致します」
ジェーンは言う。「お前、嫌味言うのだな」
「だが、可愛いから、嫌味に聞こえん」
エリー顔を可愛く傾けて言う。
「嫌味に聞こえたら、申し訳ありません」
「だったら、今回は1年生と一緒に見学でよかったのですが」
ジェーンは可愛く微笑むエリーを見ながら、若干笑みを浮かべ、だが、目は笑っていない。
「判っているだろう、理由は説明した。エリーお前には、来年はない」
(そんな怖い目で見ないでくださいよ)
「はい、理解しています。ですが・・・・・・」
「なんだ、エリー」
「あのような、トーナメント表はちょっと」
「あゝあれか、あれは学科長だ! 私は知らんぞ」
「えーーっ! あれ煽りですよね、完全に! ひっそりと目立たない様、静かにお願いしたいのですが」
エリーは思い出していた、学校吹抜けフロアーに貼り出されたトーナメント表。
(これ何なの、完全に煽ってるんじゃない)
そこにはベスト16ゾーンから参加、シード剣技士【国家特待学生】エリーブラウン、(これヤバイんじゃ、目立ってるよ)
掲示板の周辺の学生達から声が聞こえる。
〈シードて去年のベスト4以上の剣士に与えられる権利だよな〉
〈このエリーブラウンて何者!〉
〈見たこと無いけど〉
〈確か先週、転入して来たって聞いたけど〉
〈よっぽど凄いのか?〉
〈噂では、ジェーン教官と修練試合して引き分けたらしいぜ〉
〈それヤバイ奴じゃ、試合したら殺されるかも〉
〈で・・・・・・どんな感じの奴なんだ?〉
〈可愛い子て聞いてけど〉
〈相当可愛い美少女らしいぞ〉
〈可愛い・・・・・・?〉
〈それもっとヤバイな、可愛くて剣技半端ないて、俺やられてみたい〉
〈お前無理だろ、ベスト16まで行きゃな試合出来ないんだぞ〉
〈あゝ、そうだな、上位じゃほぼ3年生だろうな〉
エリーは周囲の学生達の声を聞きながら、顔を伏せて背中に嫌な汗が流れていた。
(面倒な事になってるわね、もう・・・・・・)
エリーはハット回想から現実にもどる。
周りから熱い視線を多く感じる。多分、近くにジェーン教官が居るから、私が、エリーブラウンと認識されたからだろう。
(そんなに、私を見ないで、恥ずかしくは無いけど、なんか変な感じ・・・・・・)
エリーとジェーンが立っている場所にツカツカと近付いて来る少年が一人、身長は
ジェーン教官よりちょっと低い感じ、顔立ちは端正で、ブラウンの髪の毛が綺麗になびく、美少年オーラを振り撒きながら手前で止まり。
「ジェーン教官、おはようございます」
同時にシャッキと腰から頭を下げて敬礼した。
ジェーンは軽く手を上げて言う。
「ロイ、お前も今日は1試合だけだな、まあ期待しているぞ」
「はい、期待して下さい」
そう言って少年ロイは笑顔を見せる。
「そちらが、エリー嬢とお見受けいたしますが」
「私は、ロイ ラッセル2年生です」
そう言ってエリーの顔を見つめる。
ロイ(うんん、思っていたより幼いなぁ、まあ可愛いと言えば可愛いけど、絶世の美少女は無いな、噂は噂だな?)
エリーはなんか嫌な視線を感じながら。
「はい、エリーブラウンです。今後共よろしくお願い致します、ロイ様」
そう言って笑みを浮かべて敬礼する。
ロイは思った。
(腰が低いな、もっときつい子かと思ったが、ちょっといい感じでふわっとした雰囲気だ、本当に強いのか?)
エリーはロイの瞳を見つめながら。
「ロイ様、試合で対戦することがありましたら精一杯やらせて頂きますので、よろしくお願い致します」
ロイは答える。「もちろん!」
ロイはエリーの反応に若干違和感を覚える。エリーの朱色の瞳はロイの茶色の瞳を見つめなおして、笑みを浮かべる。
ロイ(確かに可愛い、このままだと、向こうのペースに引き込まれる)
ロイは若干顔を赤みを帯びて視線をエリーから逸らした。
「それでは、ジェーン教官失礼します」
ジェーンに敬礼して、2年生の集団へと去っていった。
ジェーンはエリーを見て
「ロイは去年の準優勝者だ、気になって様子を見に来たのだな」
「エリーとは、準決勝で当たる予定だ」
「ロイには、可哀想だが、お前には勝てんだろうな」
(そうだよね、学科長は優勝は絶対条件だて言ってたもの、でも、勝負は何が起こるかわからない、気を引き締めて頑張ろう!)
エリーは思うのであった。
最後まで読んでいただきまして、ありがとうございます!