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第4話 教官との試合②

エリーブラウン11才のお話。

 ここは、士官幼年学科剣技場。


 学科長が旗を振り下ろす。

「試合始め!」


 エリーは剣先からジェーンを視感しながら様子を見る。


 ジェーンは身体を前にかがみ込み、左中段後方に構えると、一気にエリーの前に詰めて来た。

エリーの前出ると、エリーの右側面に斬撃を放った。エリーはジェーン木剣の剣先を身体を後ろにねじりながら交わした。


「なあーーっ!」

ジェーンは驚いた顔をして声を漏らす。


 エリーはジェーンを見ながら、斜め上段から牽制の斬撃を入れた。それに反応して、ジェーンは一旦下がり間合いを取る。


 今度はジェーンは木剣を右斜め上段に構えて、上体を沈め、左足を後ろに蹴り出して、エリーの肩目掛けて斬撃を放つ。

エリーは上体を逸らしヒラリと斬撃の剣先を交わす。

ジェーンは又、少し驚いた顔をして、返しの斬撃を入れるが、それも、難なくエリーにヒラリと交わされた。

 

 ジェーンはエリーと距離を取り、木剣を左中段構えから剣先を上体を捻りながら後方に下げ、右足を斜めに大きく蹴り出して、エリーへの右下方から今までより速度の増した斬撃入れる。

 エリーは、右足を引き、上体を柔らかく大きく逸らすと、ジェーンの木剣の軌道がエリーから外れて行く。


 エリーはジェーンが斬撃を振り切る前に、上体を右に少し戻し、牽制の突きを腹部方向に入れてみる。


 ジェーンは辛うじて反応する事で、ジェーンの胴の防具にエリーの木剣の剣先が擦れる程度で済んだ。


 ジェーンはエリーと剣を交えながら思っていた。

(何と、私はエリーを侮っていった、ここまでとは、いや、私は剣に対して謙虚さが無かった故に、エリーの強さを見抜けなかたったのか? )


 ジェーンはエリーと一旦距離を取り、木剣を正面上段に構え、右へ左へとゆっくり身体を振りながらエリー動きを暫く見ていた。


 エリーはジェーンの仕掛けが未だ予想を超えるものが、一撃も無い事に戸惑っていた。(ジェーン教官、様子見なのかな? 私から仕掛けてみようか、どのくらいで行ったら良いのかしら? )


 エリーは全身に魔力を軽く通して、身体強化をニュートラルから一段階上げる。ジェーンはエリーを見て雰囲気が変わった事にすぐに気付いて防御体制を取った。

(来るのか! 私は目の前の少女に翻弄されている・・・・・・)


 エリーは木剣を右下段に構え、上体を一気に沈めると、左足を後ろに蹴り出しジェーンに向けて飛び出した。


 ジェーンは一瞬にして目の前にエリーが飛び込んで来た事に、もう驚く様子は無い。冷静に左斜め上段から木剣を祓いエリーの剣先を外へズラして行く。

ジョージアは(先までと、剣の鋭さ重さが段違いだ! このエリーとか言う少女は一体どうしてこんな真似が出来る、いくら血統者であったとしてもこんなには成り得ない)


 エリーはジェーンにいなされた剣先の軌道を直ぐに修正して、身体を捻り後方に一旦引く。ジェーンの木剣の向きを確認して腹部に向けて魔力を開放しながら突きを放った。ジェーンは左足を瞬時に引き上体を逸らす、〈こっっーーっ!〉ジェーンの胴部防具にエリーの木剣が擦れる音がした。


 ジェーンは慌てて、牽制の斬撃を入れて後方に下がった。


エリーはジェーンを視感して、魔力量に変化があまりない事に落胆していた。

(ジェーン教官は、私を本気で相手してくれないのですね、なら、本気になる様にするだけです)


 エリーは全身に流す魔力量を更に上昇させて、木剣を左中段に構え、上体を左に振ると、かがみ込み身体全体を沈めて、一気にジェーンへと飛び出した。今までとは比較にならないスピードでジェーンの右側面からエリーが飛び込んで来る。

エリーは間合いに入ると瞬時に斬撃を放つ。ジェーンは下方から斜めに木剣を掬い上げなんとか直撃を避けたが、腕の防具にエリーの木剣が擦れて行く。


 エリーは手首を捻って木剣の向きを変え、ジェーンの脇腹に斬撃を放とうとしたその時大きな声がした。

「待て! 」

学科長の声だ。


エリーは声に反応して、動作を一瞬止めて、戸惑った顔をして木剣を引き一歩後ろに下がった。


「ジェーン教官! 教官ともあろう者が、なんたる事ですか! 」

学科長が厳しい口調で言い放った。


 ジェーンが顔を歪め今にも泣きそうな顔になる。


「エリーさん、試合中断して申し訳ありませね、でも、安全第一ですからね」


エリーがキョトンした顔をして学科長を見る。

「ジェーン教官の防具の固定が緩んでいるんですよね」

学科長がジェーン教官の胴面防具の右側面を指差す。


 ジェーンが慌てて防具のロック金具を確認する。「申し訳ありません! 外れておりました!」


 ジェーンは、すぐに金具を付け直す。

「出来ました。問題有りません!」


 学科長は、ジェーンを確認して旗を下ろした。「試合始め!」


 その後は、エリーは完全にモチベーションが下がり、ジェーンの打込みや斬撃を

交わし、いなしながら時間が過ぎて行く。エリーの本気の斬撃は無くジェーンへの牽制に終始した。


学科長が旗を挙げる。「試合終了!」

「両者良くやった! 引き分けとする!」


 両者礼をする。

学科長がエリーをギロット睨む。

「エリーさん後半どうしたですか、緩んでいた様に見えたましたが!」


 エリーが緩んでいた顔を引き締め姿勢を正して言う。「そう見えたのなら申し訳ありません! 鍛錬不足です!」


 試合終了後、ジェーンは呆然として考えていた。(エリーブラウン・・・・・・、後半完全に覇気が失せていた? だが、私は8割9割ではやっていたのに! 斬撃は見切られ簡単にいなされていた。この少女の底の見えぬ強さに、私は怖くて本気になれなかった⁇? そうか自分は素直に認められないのか、自分の傲慢さ弱さを・・・・・・、このエリーブラウンは教えててくれたのだな)


 ジェーンは、今までの無愛想な顔から、瞳を潤ませて微笑みながらエリーを見ている。


 エリーが視線を感じてジェーンを見ると、今までの刺々しい雰囲気から、なんかふわっとした優しい雰囲気になっているのにビックとする。


 エリーはジェーンの微笑みに、若干引き攣った微笑みで返すのであった。

(ジェーン教官、雰囲気が? 今までと変わった? なんと無く何か壊れた様な?)


最後まで読んでいただきまして、ありがとうございます!

 これからも、どうぞよろしくお願いします。

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