第29話 ジェーン強化修練4
エリーブラウン11才のお話。
ここはブラウン商会敷地内の訓練場。
エリーの催したジェーンのための剣技修練を行っている。
トッドが厳しい眼つきでジェーンを見て言う。
「ジェーンさんあなた! 剣技を辞めたいのですか?」
ジェーンは動揺した顔でトッドを見つめて声を上げる。
「断じて辞めたいとなど思っておりません!」
トッドはジェーンを見つめて言う。
「ならもう少し気持ちを入れてください。ジェーンさんの剣には全く気持ちが乗って無いのです。打ち合っていてわかるのです」
「ジェーンさん、あなたは確かに強い部類に入ると思います。ですがそれでは上は目指せませんよ。エリー様を見てください。もはや私とて手を焼くレベルです。ただ剣と対話して相手を感じそれに対応する。たぶんもう少ししたら私は勝てなくなるでしょう。ジェーンさん気概を見せてください」
ジェーンが寂しそうな顔でエリーを見て言う。
「エリー、お前はなにを目標に剣技に励む?」
エリーはそれを聞いて微笑みジェーンの顔を見て答える。
「目標? 決まっているじゃないですか! 勝っても負けっても、強い相手と剣を交えることはワクワクしてたまらないですよ。そして強くなればより多くのものを守れます。使命感とかでなく心の底からそう思うのです」
ジェーンは少し呆れた顔をしてエリーを見て言う。
「エリー、確かお前まだ11才だったな。私は何か勘違いしていたようだ。わかった色々考え過ぎのようだ。家のこと将来のことクソ喰らえだな。やっと理解した」
そう言いてジェーンはトッドに向き直り深く一礼する。
「トッドさん、ありがとうございました」
ドットはジェーンを見て言う。
「少しはマシになったようですね。ではエリー様とお願い致します」
「はい、ではエリー頼む」
ジェーンはエリーを見て口を緩めて言った。
「では、ジェーン教官お願い致します」
エリーは一礼するとトッドに審判旗を渡しユーリからエリーは木剣を受け取った。
エリーとジェーンは試合開始ラインにつき対峙して一礼する。
トッドが声を上げる。
「両者よいか!」
エリーとジェーンが頷き答えるとトッドが旗を振り下ろし声を上げる。
「試合始め!」
ジェーンは直ぐに上体を沈めると足を蹴り出し物凄い速度でエリーの前に飛び出す。そして上段からの斬撃を放った。
(へえ、仕掛けが早い! いつもなら5割程度なのにもう全開?)
エリーは中段から木剣を入れて外に弾こうとした。しかしジェーンの木剣は軌道を変えずエリーの防具をかすめて〈キューシュ〉と擦れて下に抜けた。
(え・・・・・・? 途中で魔力量を増加させた)
エリーは上体を捻りなんとか避けて退き間合いをとった。エリーは右斜下段に構えジェーンを見据える。
(ジェーン教官、私が適正に斬撃の打撃力に対応しているのを見越して変化させた? あと1cm踏み込まれていたらやられていた)
「ジェーン教官、危うかったです。ではこちらは気兼ねなく」
エリーは声を上げると神眼スキルを発動左目が赤色に変わる。そして全身の魔力量を増加させて体を沈める。そしてジェーンにほうへ飛ぶ、同時に連続で右へ左へと斬撃を繰り出した。ジェーンは的確に木剣を軌道に入れていなしている。
(対応している。慌ててないな)
エリーは上体を捻るとジェーンの胸部へ突きを入れる。ジェーンはそれを掬い上げ外へ弾いた。エリーは体を逸らして退き一旦間合いを取りジェーンを見据える。
(ジェーン教官、落ち着いて見ている。これが本来の動きなのかな。じゃあ私も手加減無しでやらせてもらいます)
エリーは魔力量を一気に増大させた。そしてエリーの体が白い光に包まれ輝きだす。
それを見てトッドが声を上げる。
「エリー様! それは・・・・・・」
エリーはジェーンに間合いを詰めると上段からの猛烈な斬撃を放った。ジェーンは下段から木剣を入れいなそうとするが、それを軽く弾きエリーの剣先がジェーンの胸部の防具を砕き破壊していく〈バーーキーーッ〉軽量強化プラスチック製防具が飛散してジェーンは悲鳴をあげて後ろに倒れ込んだ。
(えーーっ! やり過ぎた?)
エリーは一瞬動揺して直ぐに膝をつきジェーンを抱える。
「ジェーン教官! 大丈夫ですか」
ジェーンは嫌な顔をしてエリーを見て言う。
「お前は容赦無いな、私はお前の教官だぞ。少しは敬え」
「痛みは無いですか?」
「あゝ、少しだ。それより破壊力にびっくりしただけだ。防具を着けて無かったら大怪我だな」
ジェーンはエリーの手を振り解きゆっくり立ち上がる。
トッドが駆け寄りエリーに声を上げる。
「エリー様! やり過ぎです。エリー様は自分の力を過小評価されている節があります。ですのでちょっと抑えないとジェーンさんが大怪我どころか死にますよ」
エリーが済まなさそうに言う。
「ゴメン、ちょっとやり過ぎました。次回からは注意します」
そう言ってジェーンに頭を下げた。
「あゝ、そうだなさすがに殺されたのではたまらんからな」
ジェーンは戸惑った顔をした。
「いまはエリーに勝てる気がしない。だがいずれはお前と五部以上の勝負がしたいものだ」
「そうですね。楽しみにしています。ジェーン教官」
エリーはジェーンの顔を見て微笑み言った。
「では、もう一戦やりましょう!」
エリーが嬉しそうに言うとジェーンは嫌な顔をした。
「今日はお前とは勘弁してくれ。せっかく良いイメージが出来そうなのに、またダメになりそうだ」
そう言ってジェーンはアンジェラのほうへ向かった。
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