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第22話 学科長からのお話し

エリーブラウン11才のお話。


 剣技大会決勝翌日。ここは士官幼年学科第一教棟1階、学科長室。エリーがここに来るのは、今日で2回目だ。


 学科長ゲードニー=アルバレス、長身でガッチリして引き締まった身体、威圧感のある表情をしている。


 ジェーンとエリーが入室すると学科長が一番奥の窓際からエリーたちに寄ってくる。

(やっぱり、この人、只者では無いですね。顔が微笑んでいるのに威圧感が半端ない)

 エリーが学科長をそう思いながら眺めていると。

「ジェーン教官、エリーさんそこのソファーに座って下さい」


 30畳程の学科長室、窓際には執務机があり右側の壁は書棚で埋められている。左側の壁には絵画の様な額縁に入った絵が2点程飾られている。そして入口より少し入ったところに、応接用のテーブルとソファーが置かれていた。


 エリーとジェーンは敬礼してソファーにゆっくりと座った。

「エリーさん昨日はお疲れ様でした」

「制服の優勝章、実に眩しいですよ」

学科長はそう言いながらエリー達の反対側のソファーに座った。


 学科長はエリーとジョージアを見ながら。「今日は、エリーさんにお願いがあるのですよ、これは、ちょっと言い難い事なのですが」

 学科長は右側の窓の方に目を移して言葉を発する。

「ジェーン教官に剣技指導をお願いしたいのですよ」


 それを聞いてエリーは目をぱちぱち瞬きさせた。

「えーーっと! それは・・・・・・どう言う?」

 ジェーンも少し驚いた表情をしている。


「学科長! それは、私にエリーの弟子なれとおしゃっているのですか!」

ジェーンは気落ちしたような顔になる。


「ジェーン教官、あなたは理解しているのでしょう! エリーさんがあなたより強い事を! でも認めたくない」

 学科長は気落ちしたジェーンを見ている。学科長はソファーの上で足を組み直して言う。

「はっきり言いましょう。私とてエリーさんと真剣勝負すれば危うい。エリーさんは強さの底を未だ見せていないのです。それでも危うい」

「真の強者とは、相手の技量を見誤らない事! 過小評価も過大評価もしない。そうでしょうジェーン教官?」


 ジェーンは目を閉じて頷く。

「ジェーン教官、あなたはエリーさんには勝てないそれは事実です」


 エリーはジェーンのほうを見て思う。

(ジェーン教官いつも陽気なのに。こんな事言われて完全に沈んじゃってるよ・・・・・・)


「ジェーン教官! なぜ、私がこんな事を言ったのか理解出来ますか?」


 ジェーンは生気の無い目で学科長を見た。

「それは、私が弱いからです・・・・・・」

 力無くジェーンが言った。


「ジェーン教官あなたは、ここ数年、剣技が伸び悩んでいますよね。エリーさんと出会えた事は、幸運なのですよ。あのアンジェラさんも試合中に覚醒してかなり強くなりました。エリーさんには、相手の力を引き出し高める能力があるのです。エリーさんが自覚されているかは知りませんが」


 学科長はエリーに両手を伸ばして、右手を握った。

「ジェーン教官をよろしくお願いしますね」


 その様子を見ていたジェーンが吹っ切れた様に顔に若干笑みを浮かべる。

「それでは、これからはエリー師匠と呼ばなければなりませんな」


 エリーは横のジェーンを見つめて。

(良かった、元気戻った見たい)


「それで、結果は、2週間後の士官学校剣技大会で見せてもらうとします」

学科長がさらりと言う。


ジェーンが戸惑った顔で学科長を見る。

「それは、教官対抗剣技模擬戦でしょうか」

「そうですよ。ジェーン教官は国家剣技士序列5位ですね。だから、序列3位のペレスさんと模擬戦をやる事になりますね、

一度も勝ったことの無い相手ですよね」


 更に学科長は言う。

「エリーさんには、士官学校剣技大会でも優勝してもらいます。それは、決定事項ですよね。そして、形式上とは言えジェーン教官はエリーさんの指導教官です。指導教官が無様に負ける事が許される訳ないでしょう」


「用件は以上です。よろしくお願いしますね」


 エリーはソファーから立ち上がり学科長を少し微笑んで見つめる。

「私にはジェーン教官をどうすれば強く出来るかわかりません」


「そうですね。毎日1時間程の修練、3日に一度くらいエリーさんのある程度本気な模擬戦ですかね。それで結果は出ると思いますよ」

学科長がアドバイスをくれた。


「ありがとうございます。その様にいたします」

エリーが頭を下げる。


「あーそう、土日もありませんよ。休みなしです。身体の感覚が大事ですからね。まあ、1日くらいは休んでも良いですが」

学科長は言葉を付け加えた。


 二人は学科長に敬礼して学科長室から退出した。


 エリーはジェーンと廊下を歩きながら隣を見ると、未だ目は動揺している。

(そりゃそうだよね。ああハッキリ言われたら)


「ジェーン教官、今からエリー師匠て呼んでくださいね。私は師匠なんですから」


 ジェーンはエリーの顔を見て腑抜けた様な表情になる。

「はい、エリー師匠。今までの無礼お許しください。ご指導よろしくお願い致します」ジェーンはそう言うと頭を下げた。


 エリーは驚いた表情をして。

「ジョジョダンですよ・・・・・・、間に受けないで下さい! 剣技は指導しますけど、ジェーン教官は人生の大先輩ですよ。今まで通りの関係でお願いします」


「そうか、そうだよな、エリーはやっぱり可愛い奴だな」

 ジェーンはエリーの肩に右手を乗せて、いつもの様に、髪の毛を左手で掻き回した。



最後まで読んでいただきありがとうございました!

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