第12話 ロイと試合する
エリーブラウン11才の物語
士官幼年学科剣技大会2日目午前中。準決勝2試合も同時に行われる。
第一ブロック、第二ブロックほぼ同時刻に試合が開始される。
第1ブロック、アンジェラ クロード3年生vsレヴィン グレバドス3年生
第2ブロック、ロイ ラッセル2年生vsエリー ブラウン特待学生
エリーは剣士待機場所で防具を装着して第2ブロック試合場眺めていた。
(もうそろそろ、試合開始なのだけど、ロイ様姿見せませんね、ちょっとお話したかったのに、寂しいです)
エリーの横に居たジェーンが声を掛ける。
「エリー、時間だ、行け」
エリーはジェーンの顔を見て頷き、試合ブロック内に移動する。試合開始ライン位置にエリーが立つと、ブロック内へ徐にロイがやって来た。
(ロイ様、かっこいい、やっぱり美少年だなぁ)エリーが思っていると、ロイがエリーに近付いてくる。
「エリー嬢、貴女と何処までやれるか判らないが、全力で頑張るよ」
ロイの瞳はキラキラしながら、エリーの朱色の瞳を見つめ、右手を出し握手を求めて来た。
エリーは慌てて右手を出し、握手を交わす。
「はい、私もロイ様と試合出来るなんて嬉しいです」
エリーは首を少し傾け目を細め微笑んだ。ロイはそれを見て、直ぐに視線を逸らし、顔が赤色に染まった。エリーは思った。(どうしたの、ちょっと機嫌悪いのかな、そうか、試合前だものね)
ロイはエリーから離れ、試合開始ライン位置に戻りエリーと対峙する。
エリーとロイは視線が合うと、お互いに礼をした。審判が声を上げる。
「両者準備問題ないか」
二人は頷くと、審判はロイを手で指す。「名乗りを」
ロイは礼をして「ロイ ラッセル2年生、エリー嬢との試合良いものとしよう」
そして、木剣を上段正面に構えた。
エリーも礼をして「エリー ブラウン特待学生、ロイ様、良い試合いたしましょう」軽く頭を下げて、木剣を右上段に構える。
審判が声を上げる。「準備良いか!」
両者頷く、審判が旗を下げる。
「試合始め!」
審判の大きな声が響いた。
直ぐさま、ロイはエリーに向かって飛び出す、全身に魔力を乗せ、猛烈なスピードとパワーの斬撃だった。
ロイは(勝ちを拾うには、序盤に決めるしかない、魔力全開で2分以内に自分の持てるスキル全てを使ってやるしか、エリー嬢には届かない)
エリーは既に女神のスキル神眼を発動、ロイの動きは視感していた。
(かなりのスピードですね、ロイ様、もう本気モードですね)
エリーはロイの渾身の斬撃を、身体を巧みにくねらせてヒラリと交わす。
ロイはエリーを見ながら思っている。
(予想はしていたが、見切り身体能力は恐ろしく高い、だが、これはどうか)
ロイは一旦後方に下がり間合いを取った。更に身体に流す魔力量を増やすと、右に上体を振り木剣を右上段に構え沈み込み、エリーに被せる様に飛び上がった。
ロイは一瞬エリーの顔が目に入る、エリーが微笑んでいる。
(久しぶりに楽しい感じです、ロイ様、更にパワー上げて来ましたね)
ロイは違和感を覚えながらエリーの左肩目掛けて、渾身の斬撃を振り下ろす。
エリーは身体を沈め、上体を後方に捻って左脚を蹴り出し、寸前で交わした。
ロイは思った。(このスピードで仕留められないのか! 万策尽きたか、凄いよ、エリー嬢!)
エリーはロイの斬撃を交わしてから、間合いを取り上段正面に構えて考えていた。
エリーはロイを視感して思う。
(ロイ様、渾身の剣撃凄いですね、でも、魔力量が急激落ちてます?)
ロイがエリーに間合いを詰めて連続の斬撃を放ってくる。それは、それまでのものと比べると明らかに力無きものだった。
ロイの斬撃をエリーはヒラリヒラリと交わす。
(ロイ様に恥を晒させる訳には行きませんね、私も答えさせて頂きます)
エリーはロイの木剣を上段で受けて押し返すと、ロイがハッと表情を変えた。次の瞬間、エリーはロイの視界から消えていた。
エリーは瞬時に魔力を全身に流すと、身体を一気に沈め左脚を後ろに蹴り出して、ロイの脇腹に強烈な斬撃を放った。
ロイは、なす術なくエリーの斬撃をモロに喰らい、後方に吹き飛んだ。
「ぐふぁー」ロイの呻き声が周りに響く。
ロイは場外の観戦していた学生の間に倒れている。審判はそれを見て、旗を上げる。
「勝者、エリー ブラウン!」
エリーは直ぐさま礼をしてロイに駆け寄る。周りは、どよめきと歓声が入り混じり妙な雰囲気だ。
ロイの横には直ぐに医官が来て状況を確認していた。
「大丈夫ですか?」
エリーが心配そうに朱色の瞳を潤ませてロイの顔を見る。
「エリー嬢・・・・・・、瞬間的に魔力乗せたからダメージは思った程ではないよ」
エリーは両膝を着き、ロイの右手を手に取り右頬に寄せた。
「良い試合でした、ロイ様が、全力で向かってこられたのは嬉しいかったです」
「どうか、これからも私の事をよろしくお願い致します」
ロイは顔を赤らめて目をパチクリさせて、エリーの朱色の瞳を見つめ。
「エリー嬢いや、エリー様、貴女様は私など及びもしない剣技を持っておられます」
「宜しければ、いえ、是非とも、私の師としてお願い致します」
エリーは驚いて、ロイの手を離した。
(えーーっ! なんか変なこと言ってますね)
「ロイ様、少し休まれた方がよろしいかと思います」
エリーはロイの顔見て微笑んで立ち上がった。
「エリー様、私は本気です、どうか、このロイ ラッセルを弟子としてお導きくださいませ」
エリーは若干、顔を引き攣らせ。
「ロイ様、早く医務室に行って診察をお受けになった方が宜しいかと思います」
エリーはそう言って礼をすると、試合ブロックを退場して行った。
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