となりの中学の合唱部 番外編 ケイ先生の一人反省会
「となりの中学の合唱部」番外編です。合唱コンクール市大会に優勝したM市立C中学校合唱部顧問ケイ先生の心のなかのひとりごとです。本文中のケイ先生の合唱に関する考え方は「架空」です。合唱の一般論にあてはまるとはかぎりません。本当の歌の専門家の意見ではありませんことをご理解いただけますと助かります。登場人物、場所、出来事などは全て架空です。
わたしは合唱部の顧問
ケイと申します
M市のはずれにある
M市立C中学校の合唱部顧問です
いまはすっかり
宅地開発で
人口が増えつつありますが
むかしは
たぬきや
いのししが
でたかもしれないような
いなかだったそうです
とある秋の合唱コンクールM市大会で
ご近所の
M大学付属中学とともに
同点優勝をいただいたのです
そして
そろって
県大会へ進出
なぜだか
M市の教育委員会の先生方に
大変興味を持っていただけて
わがM市立C中学校と
M大学付属中学の合唱部は
優勝をいただいた市大会の直後に
わがM市立C中学校において
合同練習会を教育委員会の先生方のご臨席付きで
実施したのでありました
音楽を志すもの
人前での演奏は
お茶の子さいさい
どころか
大好物
なんでありますが
こんな栄誉は
久々すぎて
自分としたことが
少しうわずった感じになりました
中2生の
ピアノ伴奏者
まったくもって
いつも通りの
のりのりの
アドリブ付きの
ポピュラーソング
そうそう
のびのびうたえて
大成功
そして
合唱コンクール優勝常連強豪
M市立武山高等学校の
音楽部顧問からも
是非にとのお誘いがあり、
M大付属中学をさしおいて
わがM市立C中学校のみ
直々に
ご指導も受けたのでした
こどもたちは
無邪気にウキウキ
あの
何も考えていない感じが
うちの強みかもしれませんね
そう
無邪気すぎたのです
わたしは
うっかりしていたのです
なにって
いや
合唱コンクール
県大会当日のことですよ
あらかじめ
こどもたちに
おしえておくべきでした
当日は
学校を出発したら
よけいな私語はしないことって
そして
道中
うたったりしないことって
そう
それだけが
敗因とは
思ってはいませんが
実力を出し切れたとしても
強豪ぞろい
しかし
こころのこりなのは
実力を
出し切れなかったこと
わたしは
わすれていたのです
本番に
すべてを
すべての情熱を注ぐためには
怖いぐらいに
沈黙を貫き
本番まで
情熱を
ためにためるべきであったことを
ごめんよ
こどもたち
先生の
指導ミスだ
コンクール県大会当日の朝
もよりの駅のプラットフォーム
きもちのよい秋晴れのもと
だれともなく
くちづさみだしたら
もうとまらなかった
とめられなかった
あまりに
たのしそうだったから
のびのびと
はれやかに
ああ
駅構内の
ひさしや壁に反響して
お風呂場で歌うような
いい響きになっちゃって
これで
音感がくるったかもしれません?
反響板になってしまったのかも?
そして
本番前に
歌に対する
表現に対する
集中力を
つかってしまった・・・?
ケイ先生は
浮かび来る
後悔の念をふりはらって
変顔になるほど
大口を開けた子供たちが
前傾姿勢で
全身全霊をかけて
自分をみつめて
うたっている
コンクール当日の
記念写真を
何年もかざっている
おのれに
苦笑したのでありました
「となりの中学の合唱部」番外編でした。ケイ先生の反省している内容は、合唱の指導として正しいとは限りませんことをご理解いただけますと助かります。登場人物、場所、出来事などは全て架空です。いつもお付き合いいただきありがとうございます<(_ _)>(*^-^*)