タカシの過去
今回はタカシです。彼女の力って、こうしてみると本当にすごいですね。
タカシは病院に来ると、茶髪の女子高生が座っていた。
「あ、どうぞ」
彼女は端に寄り、タカシが座れるようにする。見たところ、どこも調子が悪そうには見えないが。
「なぁ、どこか悪いのか?」
タカシがふと尋ねると、彼女は「いえ、私ではなく弟が……」と素直に答えてくれた。
「その……弟が手首を深く斬られてしまって……血が止まらないものだから、連れてきたんです」
「……そうか」
しばらく沈黙が続いたが、
「あの、あなたは腕の病気で……?」
突然言い当てられ、驚く。彼女は「私、なんとなくですけど他人のどこが悪いとか分かるんです」と微笑んだ。
「……病気、治るといいですね」
そう言いながら、彼女は優しく腕に触れる。タカシは驚いたが、なぜそうしたのか聞く前に弟であろう茶髪の男子高生が少女の傍に来た。
「失礼、またご縁があったら……」
少女は一つ頭を下げ、その場を去った。
医者に見せると、病状が軽くなっていることが分かった。こんなすぐに軽くなるわけがないんだがなぁ……と医者は頭を傾げた。
しかし、タカシは気付いた。先ほどの少女が、癒してくれたのだと。
――またご縁があったら……。
その言葉を思い出す。今度会った時は礼を言おうと、タカシは誓う。
どんな状況でも、癒しをもたらす少女。




