レイの過去
今回はレイの過去です。彼女と彼は気が合いそう……。
まだ高校生だったレイは夏休みの時、勉強のために近くの図書館に来ていた。
キョロキョロと空いている席を探していると、ふと茶髪の女子中学生の隣が空いていることに気付いた。いつもならそこに座ろうなんて思わないのに、この時はなぜかレイはその隣に座った。
「隣、失礼するね」
「あ、どうぞ」
彼女はチラッと彼を見ただけで、続きを読んでいた。
不意に、その本を見ると女子中学生が読めるようなものではない、難解な研究書だった。それはレイも読んだことがあったが、友人にはなかなか話が通じない内容だった。
「ねぇ、それ……」
「はい?」
その珍しさに、思わず声をかけてしまったが、彼女は嫌な顔をせずレイを見た。
「あの研究のやつだよね。認知がどうのこうのっていう……」
「知っているんですか?」
彼女は目を輝かせた。どうやら彼女も友人とは話が通じなかったらしい。
二人はそのまま話をした。彼女は自分と趣味がよく合うようだ。それに博識で、とても中学生とは思えない。
「すごいね、そんなことまで知っているなんて」
「あなたもですよ。そこまで知っている人なんて、私も初めて会いました」
彼女は嬉しそうにしていた。
――あぁ、彼女が友人だったら楽しいんだろうな……。
不意に、レイは思う。勉強しか取り柄のない自分には、ここまで趣味の合う人なんてなかなか出会えないのだ。
「……あの、私、休みの時ならいつもこの時間にいますから。また話しましょう?」
彼女はそう言って、笑った。
それは、孤独を埋めてくれる時間。




