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角の生えた少女  作者: aaa
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「よかったんですか?ハンターネームもペリットのままで」

「いいのよ。名前が何個もあるなんて大変でしょ?それに、ペリットって名前ならハンターネームの目的も達してるもの」


 カーミアさんはそう言うと、ギルド内の飲食スペース───アンさんがいるところへと向かっていった。


「お待たせ」

「シーザー……と、」

「ペリットです。初めまして」

「私はアン。よろしくね」


 軽く挨拶を交わして同席すると、さっそくアンさんが矢継ぎ早に口を開いた。


「それで、カナドラにいたってどういうことなの?その子は?ここにいるってことは、ハンター活動を再開するの?」

「……少しは落ち着きなさい」


 カーミアさんの一言で落ち着きを取り戻したアンさんは、一口ビールを飲んで仕切り直した。


「カナドラって、あのカナドラよね?」

「もちろん」

「……魔族と何かあったの?」


 アンさんのその質問に、カーミアさんは顔色も変えずに平然と答えた。


「そうかもしれないし、そうじゃないかもしれないわね」

「……どういうこと?」

「私もわからないのよ。つまり、それを探してるってこと」

「……」


 アンさんは納得するようなしないような、なんとも言えない顔をした。


「まあいいわ。それで、それがわかったからハンターに戻ってきたってこと?」

「いいえ、何もわからないままね。ここに来たのは、ペリットちゃんのためよ」


 突然二人の視線を受けて、私は少し委縮してしまった。


「……この子は?」

「この前拾ったのよ。ライラっていう、私の相方がね」

「拾ったって……カナドラってそんな呑気なところなの?」

「かなり殺伐としてるわよ?ライラがこんな子供を拾ってくるなんて、私が一番驚いてるもの」


 アンさんは訝しげにじっと私を見てから、一つ息を吐いた。


「……そう。とにかく、シーザーの顔が見れてよかったわ。あんなことがあって、ギルドにも顔を出さなくなったって聞いて、もう会えないかと思ってたから」

「そうね。私もそう思ってた」

「しばらくここにいるの?」

「いいえ。これからアーザムの方に行って、それから帝都に戻る予定よ」

「アーザム?」

「カナドラの方の仕事でね」

「それなら、また帝都で落ち合いましょう。シーザーには、見せておかなきゃいけないものがあるの」

「……わかったわ」


 アンさんはその返事を聞くと、真剣な顔で頷いた。

 そして残っていたビールをぐいっと飲み干すと、そのまま私たちに会釈をして去ってしまった。


「……ふぅ」


 カーミアさんはそれを見送りながらため息をつくと、ウェイトレスを呼びつけて自分もビールを頼むのだった。


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