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角の生えた少女  作者: aaa
13/17

12


 ハンターズギルドは、街門に近い場所に建っていた。

 これは街の外で仕事をするハンターたちに配慮されてのことでもあり、街に攻め入れられたときの対策でもあるらしい。

 その外装も周囲の建物とは全く異なるもので、そこだけ世界から切り離されたような異様感を放っていた。


「なんだか不思議な建物ですね」

「そうね。ハンターズギルドは一目でわかるように、世界中のどこでも全く同じように造られているのよ。帝国だとだいぶ浮いてしまってるわね」

「なるほど……」


 そんな小話を聞きながらハンターズギルドへ入ると、中は案外他の帝国の施設と似たような構造だった。

 左半分が飲食店のようなスペースで、右半分が何かの受付窓口という簡素な構造だ。おそらくは、仕事を受注するための窓口だろう。


 カーミアさんは迷わず右側の受付窓口へと足を進めて、すぐに足を止めた。


「……うそでしょ」


 カーミアさんはそうボヤくと、少し後退りをするように身をよじった。

 何事かと思ってカーミアさんの視線の先を確認すると、そこでは一人の女の人が受付嬢と何かを話し込んでいた。

 そしてカーミアさんがその場を動かないまましばらくすると、その話を終えた様子の女の人がこちらを振り返った。


「シーザー?……シーザーじゃない!」


 カーミアさんのことをシーザーと呼んだその女の人がこちらに駆け寄ってくると、カーミアさんは困ったように微笑んだ。


「アン、久しぶりね」

「本当よ!シーザーがあれからギルドで見なくなったって聞いて心配してたのよ!?」

「ありがとう。私はね、あれからカナドラで活動してたのよ」


 カーミアさんが平気な顔でそう言うと、アンさんはどこか呆けた面になった。


「カナドラ……って、えっ!?うそよね!?」

「……」

「あ、ごめんなさい。そう、カナドラで……」


 アンさんが声を萎ませながら神妙な顔で俯くと、ちょうど後ろから二人を眺めていた私と目が合った。


「あなたは……」


 その質問に私が答えようとすると、それより先にカーミアさんが口を開いた。


「この子は私の弟子よ。今からその申請に行くから……またね」

「……!ええ、また」


 その言葉を皮切りにどこか緊張感の溢れていた空気は嘘のように消え去って、アンさんは飲食スペースへと去っていった。

 私はそれを少し見送ると、先に歩いて行ったカーミアさんの後を慌てて追うのだった。


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