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どうやら三人とも宿へのこだわりは特になかったようで、宿探しの方はすぐに片が付いた。
私はあまりお金は持っていなかったのだが、二人とも金銭的にはだいぶ余裕があるようで三人ともに個室があてがわれることとなった。
そんな部屋の中で久しぶりのベッドを堪能していると、突然部屋の扉を叩く音が響き渡った。
「ペリットちゃーん」
「はい」
外からカーミアさんの声が聞こえたため扉を開けてみると、そこにはなぜか武装した姿のカーミアさんが立っていた。
「どうしたんですか?」
私がキョトンとしながらそう聞くと、カーミアさんは腰に掛けた剣を軽くたたいてみせた。
「ペリットちゃん、ハンターになりにいくわよ」
それから数刻後、有無を言わせないカーミアさんの圧力の前になすすべもなかった私は、軽く武装をさせられてハンターズギルドという場所まで連れてこられていた。
カーミアさんから道中で受けた説明では、ハンターになろうと思えば誰でもなれるというわけではないそうだ。
ハンターになるためには、すでにハンターの資格を持っている人に弟子入りする必要がある。そしてその師匠となった人に一人前だと認められれば、ようやく一人前のハンターとして活動ができるようになるらしい。
「それで、どうしてカーミアさんがハンターの資格なんて持ってるんですか?」
「昔はハンターだったのよ。五年くらい前までだったかしら」
「五年前ってことは、魔族が消えてから魔族狩りを始めたんですか?」
「魔族狩りって言い方……まあ、そうなるわね。弟子入りしたのがちょうど王国が魔王討伐部隊を編成した頃で……今からだと十五年くらい前かしら。懐かしいわ」
カーミアさんは、当時を思い出すように目を瞑ってうんうんと頷いた。
普段の様子からはあまり貫禄というものを感じさせないカーミアさんだが、その言葉には確かに私よりも遥かに長く生きている者の重みが備わっていた。
その様子を眺めていて、私はどこか興奮するような気持ちが湧き上がってきたのだった。