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君に会った瞬間(とき)  作者: 永井 勇樹
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母にとっての如月

如月は話し始めた。

どこの生まれで誰の子供か、物心ついてからの生活、河原での生活など、覚えている範囲で教えてくれた。

如月の話に千景も、隆吉も、夏歩も無言で聞いた。

如月が話してる途中でも千景は、同情して抱き寄せてやりたくなったが、両親の手前、やめておいた方がいいと思い、しなかった。

だが、夏歩は違った。

如月が約2時間近くの話を終えた瞬間、如月を抱き寄せて涙を流しながら、「話してくれてありがとう」と言った。

千景も涙を流しそうになったが、涙を我慢していたその時だった。

隆吉のお腹が『グ~』と鳴った。

千景は何も言わなかったが、夏歩が隆吉を睨んで言った。


「あなた、正直なことを言うと今のは殺してやりたいと思ったけどみーちゃんの可愛さに免じて許すわ」

夏歩がそう言うと、隆吉はホットした様子だった。

夏歩は隆吉に怒る時は、『父さん』でなく、『あなた』と呼ぶ。

というか、簡単に流してしまったがいつからみーちゃんなんて名前になったんだ。

そこに夏歩が更に言った。


「うん、今から台所に行って自分の首を切って自殺するか、どこかのビルの屋上に行って飛び降り自殺をすれば許してあげる」

夏歩は笑顔だが、千景にとっては怒りのオーラが全身から出ているよう見えた。

隆吉もそれに気づいたみたいだ。

隆吉は土下座しながら謝った。


「すみませんでした!」

夏歩に許す気はない。

これは殺されはしないが大変な目に遭うな。

そう千景が思っていると、如月が夏歩に言った。


「あの、私が長々と話していたからこうなったので、私が悪いだけなので、許してあげて下さい」


「うん、みーちゃんに言われたら許しちゃう」

如月が言うと、夏歩はいつもの笑顔に戻った。

そして、如月に抱きつきながら、隆吉のことを許すことにした。

その時の隆吉はすごく安心した表情だった。

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