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君に会った瞬間(とき)  作者: 永井 勇樹
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想いよ、届け

如月は聞いてきた。


「何を確かめたいの?」

千景は答えた。


「僕自身、まだ、それが何なのか分からないんだ。でも、君を見た瞬間に何かを感じたんだ。それが何なのかを確かめたいんだ」

今度は如月が答えた。


「それでも、私があなたについて行くことは出来ない」

そして、今度は僕が聞いた。


「僕が怖いから?」

如月は首を振りながら答えた。


「違う。私があなたについて行くことは出来ないのは、あなたが優し過ぎるからなの。あなたが私に何かを感じたからとしても、それであなたについて行ったら、あなたの優しさに付け込んだことになると思うから」


「分かった。じゃあ、あの河原まではタクシーで送って行くよ。でも、そこからは本当にさよならだ」

そう僕は言って如月が歩いて戻ると言ったのを「駄目」と体のことを心配してタクシーで送って行くことにした。

その後、タクシーを呼んでから、如月のいた河原まで送っていく間、千景と如月は一言も喋ること無く、河原に向かった。

河原に着いてからタクシーの運転手に少し待ってもらうことにして千景も一度タクシーを降りた。

そこで如月は深々と頭を下げて言った。


「今日は助けてくれて本当ありがとう。もし、よかったら名前を聞いてもいい?」

そこで千景は自分の名前を名乗ってないことに気づいて、名乗ることにした。


「僕の名前は立花 千景。もし、次に会うことがあったら、千景と呼んでね」

そう言うと、如月は再度お礼を言い、橋の下に行った。

千景はその姿を見届けてから、タクシーに乗ろうとした時に感じた。

これは『直感』だ。

だけど、思った。

ここで如月を離しては駄目なのだと。

あの悲しさに満ちていた彼女を一人にしては駄目なのだと。

そして千景は如月の元へ向かった。

如月はブルーシートの上に一人、座っていた。

千景は如月に後ろから抱きついた。

如月はひどく動揺した。

そこで千景は精一杯の気持ちを込めて、こう言った。


「僕は君に何か特別なものを感じた。それがどういうものか分からない。でも、ここで君を離したら君が消えてしまいそうに感じるんだ。そうなった時、僕は一生後悔すると思う。誰にも反対はさせない。君を一人になんてしたくない。だから僕と一緒に来て欲しい」

そう言った僕の言葉には『僕を独りにしないで』といった意味もあったのかもしれない。

僕の精一杯の気持ちに如月は問いてきた。

僕はそれに答えた。


「私、ホームレスだよ?」


「それがどうしたの?僕はそんなこと気にしない」


「それに貧乏だから、お金借りても、食事もらっても、何も返せないよ?迷惑もいっぱいかけるよ?」


「別にいいよ。一緒にいてくれればそれだけで」


千景がそう答えると如月は抱きつかれた状態のまま、泣きながら聞いてきた。


「こんな私でいいの?」

千景は言った。


「こんな私じゃなくて、君がいいの。如月でなきゃいけないの」

如月はその後、思いっきり泣いた。


そして、千景は自分の家に帰ることに、如月は千景の家に行くことになった。

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