僕の気持ち
「それじゃ、今後についての話をしましょうか」
夏歩が聞いてきた。
「千景的にはみーちゃんをどうしたいの?河川敷に戻したくないだけ?それとも、これから一緒に住みたいの?それだけはしっかり答えて」
千景は答えた。
「僕は如月が悲しむ姿が見たくない。それに如月の弱々しい姿も。だから、あの河川敷に戻したくはない。だから…」
その続きを言おうとした千景を夏歩は止めた。
「もういいわ。あなたの気持ちはよく分かった。私とお父さんが、あちらの人たちには話をつけてきてあげる」
「ああ、その代わりにお父さんから条件がある」
ここで黙っていた隆吉が条件を提示してきた。
「1週間の間、如月さんのことを実家で預からせてもらう。最低限のマナーと教育だけを受けてもらう」
隆吉が真剣な表情で言ってきた。
「分かった。1週間は待つ」
変に断っても面倒になるので、ここは素直に了承する。
「懐かしいわね。あなたのそんな顔。久しぶりに見た気がするわ」
「そうかな?」
隆吉は照れながら夏歩に言った。
「そうよ。私に交際を申し込んできた時や、プロポーズしてきた時のような顔」
「まあ、この話はいいとして如月ちゃんのことだけど、お父さんの言う通り、一週間はこっちで預からせてもらうわ」
「うん」
千景が再度了承すると、夏歩は自分の荷物を持って如月を連れて車に向かう。
隆吉もその後を追おうとすると夏歩が言った。
「何勝手に帰ろうとしてるの?お父さんは脱衣所にある荷物を持ってきて」
「え?」
隆吉が『なんで俺が?』みたいな顔をすると、夏歩が更に言ってきた。
「あなた、持ってきて」
今のは少しイラついてる時の表情だ。
「はい、分かりました」
隆吉もそれを悟ったみたいで脱衣所に向かった。
千景も車に運ぶのは半分手伝う。
「それじゃあ、父さん、母さん、如月、一旦お別れだ」
「うん、また」
千景が言うと、如月が返事を返してくれた。




